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柏木はいかに過去の試みが挫折したか、今回ここまでこぎつけるためにどれほどの努力を要したかについて2分ほど熱弁を奮った。そうか、うちの大学ではミスコンが開催されたことがなかったのか、と改めて思う。まあ、東京のお洒落な大学とは違うから。わたしたちの間では東京の大学は恐ろしい場所であるというのが定説だった。そこには厳然としたカースト制度が存在し、食堂には選ばれた人々しか座ってはいけないテーブルがあるという。恐るべし東京。わたし自身は関東の出身であるにもかかわらず、そんな世界で生きていける気が全くしない。
「今のところ予定としては10月までに書類選考を締め切り、ファイナリストを5人にまで絞る予定です。その上で、最終投票については11月祭で観客から票を募り、グランプリを決定します」
柏木と名乗った女性は淡々と話し続けた後、こう締めくくった。
「このイベントが成功するかどうかは、ボランティアの皆さんの力にかかっています。是非、どうか大学の歴史において初の試みであるミスキャンパスコンテストを皆さんの力で成功に導いていただければと思います」
部屋の中に、パチパチ…と弱々しい拍手が響いたのち、一人の女性が手を挙げた。
「すみません、もし講義などの都合でミーティングに参加できない場合はどうすればいいですか?」
「はい、皆さんお忙しいと思うのでそういうこともあると思います。あくまでもボランティアなので都合がつかず出席できない場合は前もってご連絡頂ければ大丈夫です」
女性が頷いて着席すると同時に今度は男子学生が立ち上がる。
「運営と企画ということですが、イベントの内容についてもぼくたちが提案することは出来るんでしょうか」
「もちろんです。わたしたちはこのイベントを皆さんと一緒に作り上げたいと思っています。決まったアイディアに凝り固まらず、色々な案を募集して行きたいと思いますのでよろしくお願いします」
男子学生はよっしゃ、とでもいうように胸元でガッツポーズをとる。どこまでも自分の欲望に忠実な提案をしそうである。
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