第66話

「さて、くだらない一人称やらなんやらの話ばかりでは先に進まないので終わりにしましょう。とりあえずご飯食べましょ?ご飯!」

「はたしてくだらない、で片付けていいの?それは」

「ええ、さしたる問題ではありませんよ!生物は気分で一人称を変えるじゃないですか。ほら、いつもは俺!とか僕…とかアタシ、とかなのに成長過程で変わっていったりするじゃないですか」

「んー…。あぁ!普段オレー!とか言ってる奴が急に面接の時にわたくしは…とかいうあれね。うーん、懐かしいなぁ…就職活動…うぅ思い出しただけで何だか胃がキリキリしてきた…」

「その…何とか言うのはちょっと分かりませんけれどまあそんな感じですよ。一人称もファッションです!ファッション、洋服みたいにたまには全く違うものに変えるのも楽しみですよ」

「そんなことを考えたことはなかった。初めてだよ」

「頭が硬すぎるんですよ、自分の人生ですよ?周りがどうとかじゃなくて自分がどうしたいかとかそういうものの方が余程大事ですよ」

「人生何周目なの?それ。すごい悟り開いちゃってるじゃん」

「まあ…ドラゴンなので!そこはご愛嬌ですよ」

ふむ…ドラゴンってそうなんだな。

いやまさかドラゴンに人とは何たるものかを教えて貰える日が来るとはね、人生って何が起こるか分からないとはよく言ったものだよ。

「とりあえず適当に食べましょう?お腹すいてうっかり終末起こしちゃいますよ〜」

「は?」

「あれ?伝わらなかったですか?ドラゴンジョーク!ってやつなんですけど」

「いや規模が…そんなとてつもないジョークは人類誰も言わないから…」

「まあ確かに、こんなジョーク言うのはドラゴンの中でも始祖とか原初とかその辺ですからね」

「原初とか始祖ってそんなにいるの?」

「いやいや、私含めてもう1頭…あー、もう1人?ですよ」

「始まり2人かよ…そういうのってだいたい1人…1頭?とかじゃないの?」

「この世界創ったのは2頭ですからね。双龍ってやつですよ」

「ほへぇ…」

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