第49話

「…の………あの……だ、大…ですか?」

視界が暗い、くらい。

意識がぼんやりする、というか体がふわふわする。

「…て!……え!」

なんか声がする、「大」とか「え」とか。

うるさいなぁ…こっちは寝てるんだよ。ほっといてよ。

………………?寝てる?なんで?

「し……い…で!」

おかしいな、さっきまで誰かと一緒…。

起きなきゃ、かな。

そうは思えどまぶたが重い、接着剤でくっつけられたような、まつ毛に重石を括り付けられてるようななんというか、重い。開かない。

「起きて!」

今まで聞こえなかった声が鮮明に耳に響く。

まぶたに熱い水が1滴、2滴、3て…いっぱい。

大きな雫がぼたぼたぼた、と。

(あ、まぶたあきそう…)

ぼたぼたぼた、と、止まらない雫でむしろ目が開かない。

(なんか開けられないんだけど違う意味で)

ぼたぼた…ねちょっ。

(?ねちょっ、ネチョ?ネチョネチョ…?!)

顔にネチョネチョしたものがベッタリ

「!!!!!!!ん???????!!?」

ねちょ、が決定点となった。

勢いよく跳ね起きる。

ゴッ!額に響く衝撃と骨と骨がぶつかる音。

脳みそが激しく揺れる。



そうして彼女はまた…。

彼女の意識は遠くへ旅立ってしまった。

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