02 さすが天下のプロテインメーカーだ
「なんだオマエ! 話が分かるやつじゃねぇか!! 最初会った時は何言ってんのか分からなかったがな!」
「オマエこそ。やはり、尻のでかい女がいい女だよなぁ!」
飯屋に来て話していたら、この世界の人間はかなりオープンな人が多いと感じた。
好みの女性の話をしたらすぐに仲良しになったし、色々と話が聞けた。
田舎から出てきて金がないと話をしたらこの飯屋は奢ってもらうことになった。
右から冒険者をやってる……名前を聞いたが忘れた。まぁ、特徴のある見た目だから覚えやすいだろう。
◯ヒゲモジャの剣士・若干筋肉質・ちょっと臭い
◯陽気な弓使い・ちゃらそうだがこういう奴が実はオタクだったりする
◯ムキムキな神官。こいつは良い筋肉をしてる。禿げてるしな。
いろいろな話を教えてくれた代わりにオレは筋トレの知識を授けた。剣を振ったり、弓を射ったりするのに必要な筋肉の使い方をざっとな。神官ってのは知らん。
筋肉の話をしたら神官のおっちゃんが乗ってきてくれた。筋トレってのは聞いたことがないらしいが、もっとムキムキになると言ったら大興奮だ。
あぁ、正直に言って、泣きそうだ。
オレの地元じゃあこんなやつはいない。
飯を奢ってくれて、楽しい会話ができるやつなんてな。
岡山の人間は都会じゃないくせに、無関心すぎるんだ。
昔にあった経営者が「岡山でビジネスが成功したら、どこでも成功する」って言ってたくらい岡山は凄いらしい。
警戒心というのだろうか、内は内、外は外のような所だ。
さすが桃太郎がイメージな場所である。味方は味方で、鬼は鬼なのだろう。
それに、料理も美味い。
とにかくデカイし、噛みごたえがある。
変に揚げ物が入ってないことから、少しは安心して食える。
今のオレは、バルクアップ期間だからな。
筋トレの後はボーナスタイムだ。なんでも食ってよし状態なのだ。
「おっと……」
そういえば忘れてた。あの神様と名乗る高齢者に頼んでおいたんだ。
スキル……だっけか。
「なぁ、ヒゲモジャ。スキルっつーのはどうやって使うんだ?」
「あ? スキル? スキルを使おうと思ったら使えるが、どした」
「使おうと思えば使えるのか……」
オレがあの高齢者に頼んだのは【PFCバランスが見えるように】と【筋トレを不自由なくできるようにしてくれ】ということ。
使おうと思ったら使えるならば、使ってみよう。こうか?
【 料 理 】飯屋の料理
【 蛋白質 】40g
【 脂 質 】12g
【 糖 質 】150g
「おぉ……!! 見える、見える!」
あの自称神様ってのは、本当に神様だったのかもしれない。
いや、カロミルとコラボしたバズーカ岡田の関係者か……?
とりあえず、これがあればPFCバランスの計算もかんたんにできるな。
自称神様のことをこれからは『オカケンさん』とでも呼ぶことにしようか。
「あとは──」
ピロン。
「なんだこれ」
テーブルの上に広がったのはネットショッピングさながらの半透明のボードだった。
項目順に商品が並べられていて、その下にあるのは価格なんだろうが……MPと書いてある。
「マイプ◯テイン……」
こんなところまで手を伸ばしてるのか、あの企業は。
いやぁ金欠トレーニーの母、マイプ◯テインだ。さすがといったところ。
だが、よくよく見ていくとマイプ◯テインとは違うらしい。
そのMPの説明が一番下の方にちょろっと書いてあった。
MP:マッスルポイント。
あなたの筋肉の大きさと、あなた自身の知名度と筋トレという文化の知名度によって上昇します。
◯あなたの筋肉量によって毎日【10MP】が付与されます。
◯あなた自身の知名度が上がる度に【20MP】が付与されます。
◯筋トレの文化が認知される度に【100MP】
※上限はありません。
「……なぁ、MPって知ってるか?」
「MP。あー……、マナのことか? 魔法とか使うために必要な奴だな」
「マナ……マッスルポイントじゃあないのか?」
「なんだそれ」
飯を食うのに夢中のちゃら弓使いはしらんらしい。
ふむ。それに、この半透明のボードも見えてないみたいだな。
現在のMPは100か。一番最初に付与されたお小遣いみたいなもんか。
うむ……おれの筋肉量が10か。少ないのか?
いや、大会に一回も出たことがないアマチュアはこれくらいなのか?
トッププロ達なら、どんな数値になるかは気になるが……。
さて、このへんてこなシステムは、ジムを開くこともできるし、マシンも購入できる。プロテインも買えて、プロテインようの水もあるようだ。
オカケン、やるじゃないか。見直したぞ。
が、今のオレのMPで買えて、必要なものとなると【水】くらいか。
水:10MP
プロテイン(1kg):200MP
オールインワンラック:35000MP
…………
……
ジムを開くには莫大なMPが必要で、一番低い【パーソナルジム】でも桁が6つになる。これはなかなかにきつい。
それにコレは【パーソナルジム】のセットのようなものか。これさえ買えば、必要な物はついてくるんだろう。
マシン欄の中には、オールインワンラックも見受けられた。
土地を自分で用意できるなら、マシンのMPだけで済むという形か。
「なかなかおもしろいじゃないか……」
異世界、楽しみになってきたぞ。
そう思っていた矢先にとんでもないやつに出会ってしまった。
「オイ。その体、本当にナチュラルか?」
コイツ……すごい体をしてやがる。
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