長いわ!

紫陽花の花びら

第1話

 古びた公園は静かに寂し気に佇む。

「不破町幸谷七番公園」

ふわまちゆきたにななばんこうえ。だいたい長すぎだろ!

通称アンラッキーセブンパーク。縮めてアンラッキーセブン。

この公園には本当お世話になったよ。母親に怒られた時、兄貴と喧嘩した時、熱りが冷めるまで、このはげっちょろけの土管に隠れていたんだ。勿論遊んださ。缶蹴り、色鬼、高鬼なんかして楽しかった。

 そうそう、俺小五の時プチ家出したんだよ。暮れの29日、大掃除も手伝わないで遊び廻っていた俺は四時頃家に帰ると、鬼の形相の母親にこっぴどく叱られて、勉強道具から玩具すべて捨てると言われてさ……近くの焼却炉に本当に持って行かれたんだ。散々謝ったけど許すしてくれるような状態じゃなくて。俺の人生は終わったなって思って、弟に家出するって伝えて家を出た。悲しかったなあ。自業自得だけど燃さなくても良いよなあ。泣きながら町中歩き回って、結局この公園に行き着いて、土管の中でじっとしていたら、遠くから母親の声がするんだよ。

やば! 俺は近くの林に逃げ込んでやり過ごした。弟と母親の声が震えていたような気がしたけど、もう帰れないと思っていたから、土管に戻って大泣きだよ。寒いし暗いしお腹空いたし。暫くすると上から、うま…棒が降ってきたんだ。

「これ新発売の明太子味たぞ。特別にやるから。帰ろうぜ、なっ」

って兄貴が顔を覗かせていたんだ。

「にーちゃぁ~ん かーさんが全部燃やしたんだよ……」

「プッ、お前なぁケチな母さんがそんなことするわけ無いだろ? 帰ったらちゃんと謝れよ」

でも、帰ったら母親に抱き締められたんだ。本当いい思い出だよ。それからは、遅まきながら今一番にやる事を考えるようになった。

そう、ここは俺にとっては大切な場所。アンラッキーセブンパーク。縮めてアンラッキーセブン。

アハハ、全然縮まってないって。本当正式名称長すぎだろ!。





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