電車で助けた美少女が、2番目の推しVtuberだった件

夢生明

第1話 プロローグ




 朝8時。気だるげな空気が散漫する教室。これから授業が始まるという憂鬱ゆううつな気分が溜まる中、俺の隣の席の奴が登校してきた。



 大きな瞳に長い睫毛。透明感のあるクリーム色の肌は艶やかな黒い髪と染まる頬を鮮やかに際立たせている。


 「クラス一の美少女」と言われている彼女は、今日も俺に尋ねる。


「須藤くん。あなたが一番推してるVtuberは、誰ですか?」


 砂糖のように甘い声。強気な印象を受ける顔立ちからは想像もつかない、ギャップのある声だ。


 実は、とあることをきっかけに、俺は彼女から同じ質問を毎日されていた。


 そんな彼女の質問を受け、俺は今日も普段と変わらない言葉を返した。


愛猫あいびょうミケに決まってるだろ」


「‥‥‥」


 その返答を聞いた瞬間、彼女の眉毛が不機嫌そうにピクリと動いた。


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