777の魔力

夕奈木 静月

第1話

 今日は休日。天気が良かったから、俺は一人で散歩中。


 道すがら、近所に最近できた水族館に寄り道してみた。


「あなたは当水族館の777人目のお客様です!!!」 


 エントランスのお姉さんが笑顔でお出迎えしてくれた。


 おお、ラッキー。そうなのか。やっぱり俺の日ごろの行いがいいからかなあ……。


 だからこんな幸運に巡り合える。


 ほら、イルカくんも俺を祝福して……。


 ビシャンッ!!


 冷た~。


 マジかぁ? 水族館の人が平謝りしてて申し訳ないし、身体を乾かしたらさっさと帰ろう。



 寒~。身体が乾ききってない。春先で温かいとはいえやばいな。風が冷たすぎる。


 コーヒーでも買うか。


 自販機見っけ! ルーレット付きの奴ってまだあるんだな。


 おっ……!! いけ、止まれ。もうちょいでトリプルセブン!!


 よっしゃ~! やったな。もう一本ゲット。


 ガチャガチャ。勢いよく缶が落ちてくる。


 やっぱラッキーな日なんだよ、今日は。


 さっきのイルカくんだってわざとやったわけじゃないもんな。


「ん……?」


 まさか? 二本とも冷たい……。


「ありえん……」


 俺は冷える身体を何とかしたくて家まで猛ダッシュした。


 ビシャンッ!


 うわ~、またかよ。車に水を掛けられた。昨日大雨だったからな。水たまりがそこら中に残ってる。


 車のナンバーが目に飛び込んだ。『777』とある。また『7」かよ……。もううんざりだ。


「ぶあっくしょん!!」


 寒い寒い……! 全く、なんでこんな目に……。全然ラッキーなんかじゃないぞ!


 アパートの階段を駆けあがりながら俺は叫んだ。


「7なんて大嫌いだ~~~っ!!!」


「……えっ!? 大河たいがくん?」


 背後から不安で崩れそうな声がした。


那奈ななちゃん!?」


 震えながら立っていたのは最近付き合いだした彼女だった。


「ウソ……!? わたしのこと好きだって……あんなに言ってくれてたのに……。信じられない……! さよなら……」


「ちょ……待って……那奈ちゃん~っ!!」














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777の魔力 夕奈木 静月 @s-yu-nagi

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