エバー・転生・ストーリー ~何度生まれ変わっても死んでしまうんですが!?一体どうなってるんだこのクソゲー!!~

七生ナナナナ

初めての転生

第1話 第一転生



 俺の目の前にはただ真っ白な空間が広がっていた。


 かろうじて空と地面の境界は見えるがそれもぼんやりとしている。


「どこだ!?ここは!!!」


 大声で叫ぶ俺の声は虚しくこだまする。


 なんでこんなことに!?一体どこなんだここは!!

 俺は必死に、記憶の糸を辿りよせる。


「お…思い出してきたぞ…!」



─────────────────────


 俺の名は転辺生巳(かるべいくみ)。

 都内の中堅高校に通うごく普通の17の学生だ。


 部活が終わって帰る途中、国道の大きな交差点で白猫を見かけた俺は助けようと飛び出した所に赤信号を無視した暴走トラックに跳ねられてしまったのだ。

 最後の記憶は…倒れて意識が薄れていく俺の顔を、ペロペロと舐めている白猫の顔!!


─────────────────────


「良かった!無事だった!」


 安心すると同時に、不安と恐怖が襲ってくる。


「えっ」


「てことはひょっとして…」


「俺は死んで、ここは天国ってことか!?!?」



「違うよ☆ここは煉獄だよ☆」


 突然頭の中に甲高い声が響く。


「!?」



 キュポポーン!



 奇妙な音と共に突然目の前に、猫のような狸のような、ヌイグルミのような丸っこい生物が現れた。


「やあイクミ☆!」


「うわあ!なんだお前は!」


「ボク☆の名前はキュポポン☆」


「ヌイグルミが喋った!?」


「ボク☆の名前はヌイグルミじゃないよ☆!キュポポンだよ☆」


「名前なんてどうでもいい!なんだお前は!」


「キミ達ニンゲン☆の世界では天使とか呼ばれてる存在さ☆」


「天使!?」


 頭がこんがらがる。

 しかし、どうも俺が死んでしまったのは確からしい。


「この煉獄☆ってのはね、天国に行く魂が一時待機する場所さ☆」


 もはや俺の頭の中にこのヌイグルミの言葉は入ってこなかった。

 俺は、死んだんだ…。


「でもね、ダイジョーブだよ☆」


「白猫を助けたご褒美に、ボク☆の力で君を転生させてあげる☆」


「て…転生!?」


 転生。生まれ変わり。前世の記憶を持ったまま生まれ変わった人生を歩む…そんなことが出来るのか!?


「どうする?転生してみる?」


「する!もう一度、生まれ変わって幸せな人生を送って見せる!」


「オッケー★んじゃ行ってらっしゃーい☆」


 ヌイグルミの言葉と共に、俺は光に包まれ、意識が遠のく。



 俺は…転生して…今度こそ幸せな人生を送るんだ………。

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