上を向いて
NADA
「アンラッキー7」
あれ?目覚まし時計鳴ったっけ?
寝ぼけ眼で携帯の時間を見る
うわっ…!
遅刻だー!!!
時刻は、今まさに一時限目が始まるところ
今日はグループでレポートの発表があるから、行かなければグループの皆に迷惑がかかる
大学2年生の
洗面所で顔を洗うと、歯を磨く
鏡にうつる顔を見ると、鼻のてっぺんに大きなニキビができている
そういえば、昨日から鼻がむず痒かった…
そんなこと気にしている場合ではない
パジャマがわりのジャージを脱ぎながら、クローゼットを開ける
いてっ!
足の小指をクローゼットの扉でぶつける
いってーなー、もー…!
秒で着替えると、陽大は家を飛び出した
自転車を飛ばして、駅に着くと改札まで走る
この電車に間に合えば、何とか一時限目が終わるまでに学校に行ける
階段をダッシュして登ろうとした時、足を踏み外して転び、すねを思いっきり打った
涙が滲むほど痛かったが、すぐに起き上がって階段を駆け上る
息を切らしてホームに辿り着いたけれど、ちょうど電車は出発してしまった
はぁ、はぁ、はぁ…
はあぁー、行っちゃったよ…
もう、間に合わない
とにかく、謝罪の連絡だけでもいれておこう
ん?まさか?
やばっ、携帯忘れた…!
全身の力が脱けて、駅の椅子に座り込んだ
あー、もう、お手上げだ
携帯が無いなんて
どうしようもない…
しばらく呆然としていた陽大だったが、力なく立ち上がった
帰ろ…
携帯取りに戻らないと、何もできない
喉渇いたな、何か飲むか
駅のコンビニに寄ると、ドリンクコーナーの棚でいつものカフェオレを探す
売り切れかよ…
はあー、なんてついてない日だ
朝から、
1 寝ぼうして、
2 ニキビできて、
3 足の小指ぶつけて、
4 階段でこけて、
5 電車乗り遅れて、
6 携帯忘れて、
7 飲物売り切れ…
アンラッキー7回続けて起きた
一つ一つは大したことなくても、これだけまとめて一度に来ると、さすがにこたえる
今日はろくな日じゃないな…
駅から出ると小雨がぱらついている
もう、雨くらいどうってことない
フラフラと自転車をこいで、家に帰る
住んでいる一人暮らしのアパートに着く頃には、雨は止んでいた
日がうっすらと差し込んできた空を見上げる
わあー…
めちゃくちゃキレイな虹が出ていた
こんなにはっきりとした虹は、今まで見たことがない
胸の中のモヤモヤがすっきりとした
さっきまでのアンラッキーが帳消しになった気がした
とりあえず電話して、皆に謝ろう
まぁ、大丈夫だろう…
上を向いて NADA @monokaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
トリあえず?/NADA
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
免罪符/NADA
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます