地球に魔王が出現する、なんの意味もない話

三国洋田

第1話 アンラッキー7

 休日の朝、俺は自室のベッドに寝転がりながら、何をするか考えていた。


 うーん、どうしようかな?


 そういえば、よく当たると評判の、占いアプリがあるらしいな。


 ちょっと気になるなぁ。


 やってみようか。



 俺は起き上がり、スマホを手に取った。


 そして、占いをやってみた。


 すると、なぜか『アンラッキー7』とだけ表示された。


 なんだこれは?

 どういうことなんだ?


「フハハハハハハハハハハッ!! おめでとう、大当たりだツブッ!」


 突然、後ろから聞き覚えのない声が聞こえてきた。


 俺は後ろを振り返った。


 そこには、空飛ぶ七つの球体がいた。


 大きさは直径八センチくらい。


 色は黒がふたつ、緑がふたつ、ピンクがひとつ、黄がふたつだ。


「な、なんだこれは!?」


「私は『つぶあん・ラッキー』だツブッ!」


 黒い球体がそう言った。


 確かに小豆あずきが潰れていないな。


「俺は『こしあん・ラッキー』コシッ」


 もうひとつの黒い球体がそう言った。


 確かに表面が滑らかだな。


「あたしは『うぐいすあん・ラッキー』よウグイッ!」


 緑の球体がそう言った。


「おれっちは『ずんだあん・ラッキー』だぜズンダッ!」


 もうひとつの緑の球体がそう言った。


 うぐいすあんと見分けが付かないな。


「あーしは『さくらあん・ラッキー』よサクッ!」


 ピンクの球体がそう言った。


「おいどんは『いもあん・ラッキー』だすイモッ!」


 黄色の球体がそう言った。


「おれちゃんは『くりあん・ラッキー』だよクリッ!」


 もうひとつの黄色の球体がそう言った。


 こいつもいもあんと見分けが付かないな。


「「「七つ合わせて『アンラッキー7』!!」」」


 球体たちが声をそろえてそう言った。



「お、おう、そうなのか…… ええと、君たちはなんなんだ?」


「アンラッキー7だツブッ!」


「だから、それはなんなんだ!?」


「よく分からんツブッ!!」


「そ、そうなのか……」


 訳が分からなさすぎだろ!?



「ここに何をしに来たんだ?」


「アンラッキー7を出した君に、取りきに来たツブッ!」


「取りきに!? 君たちは幽霊だったのか!?」


「そこは分からないツブッ!」


「そ、そうなのか……」



「ええと、君たちに取りかれたら、どうなるんだ?」


「そこも分からないツブッ!」


「最初に大当たりって、言っていたじゃないか? あれはどういうことなんだ?」


「それは意味のないことを、適当に言っただけだツブッ!」


「ええ……」


 本当に何をしに来たんだよっ!?



「君たちって『ラッキー』というファミリーネームの兄弟なのか?」


「そこもよく分からないツブッ!」


「じゃあ、ラッキーってなんなんだ?」


「まったく分からないツブッ!」


「そうなのか」


 意味の分からん集団だな!?



「君たちは何ができるんだ?」


「飛べるし、しゃべれるツブッ」


「他には?」


「分からないツブッ」


「そうか……」


 こいつら、自分のことが全然分からないんだな。



 さて、どうしようか?


 とりあえず、スマホで情報収集してみようか。



 調べてみたが、何も分からなかった。


 なんなのだろう、こいつらは?


 ん?

 なんだか腹が減ってきたな。


 そういえば、今日はまだ何も食べていなかったな。


 何か食べようか。


 俺は台所に向かった。



 あれ?

 食べ物が何もないな。


 仕方ない、買いに行くか。


「俺はちょっと買い物に行って来るけど、君たちはどうするんだ?」


「私たちも行こうツブッ」


「えっ、付いて来るのか!?」


「取りいているのだから、当然だろうツブッ」


「そういうものなのか?」


「そういうものなんだツブッ!」


「そうなのか。なら、行こうか?」


「ああ、そうしようツブッ!」


 俺は着替えて、外に出た。



「ぐああああああああああああああっ!!!!」


 歩道を歩いていると、突然後ろから叫び声が聞こえた。


 後ろを振り返ると、七羽のカラスがアンラッキー7に襲いかかっていた。


 そして、アンラッキー7はカラスに連れ去られてしまった。


 ええ……

 あいつらって食えるのか?


 まあ、どうでもいいか。


 買い物に行こう。


 コンビニで適当に食べ物を買って、帰宅した。


 そして、家でのんびりした。


 そこそこ充実した休日だったな!!



 次の日。


 地球に『アンラッキー7・カラス魔王』を名乗る、鳥の着ぐるみを着た七人組が現れた。


 そいつらの着ぐるみの色は、アンラッキー7と同じだった。



 カラス魔王たちは人類に宣戦布告し、戦争に突入した。


 なんとなく責任を感じた俺は、その戦いに身を投じることにした。



 俺たちの戦いはこれからだ!!!!!


 続かない(予定)!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地球に魔王が出現する、なんの意味もない話 三国洋田 @mikuni_youta

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ