リボルバー

不明

リボルバー

 暗い路地裏、警察なんかが来ないであろうマンションの地下室。

 そんな場所に今、借金を持つ二人の人間がお金を返すため命がけのギャンブル『ロシアンルーレット』をやらされていた。

 もちろんおもちゃの銃なのではない実銃のリボルバー。

 主催者は娯楽の様子をダークウェブに流し借金をなくす代わりにお金を稼いでいた。

 先行の男は震えながらもこめかみに銃を当て『カチッ』と空砲を鳴らす。

 それと同時に先行の男はホッと一安心したかのように全身の力が抜けた様子だった。

「ほれ、次はお前の番だ」

 二人の間に立つディーラーは俺の目の前にリボルバーを流す。

 やらなきゃ、どっちみち払えなきゃ殺されるんだ。

 友人に頼まれ闇金の保証人になってしまい、もともと五十万ほどだったのだが、今では利息で三千万ほどに膨れ上がっていた。

 黒服を着た人物に知人が逃げたと聞く最近まで知らなかったため借金がこれほどまで上がっていた。

 だが自分は普通の社会人、毎日二十四時間働いたとしても利息すら払えない。

 だからこうして借金をなくす代わりに上級国民を楽しませるゲームに参加させられていた。

 震える手で、テーブルに置いてあるリボルバーを手に銃口を眉間に当て祈るように引き金を引いた。

『カチッ』と空砲を鳴らした。

 ホッとしたのもつかの間、次もその次もその次も弾は出ず。最後の番が回ってきた。

 リボルバーに入る弾は6発、そして5発空砲が鳴り自分の番。次は確実に弾が出る。

『オーッと結果が分かってしまったが、勝者は先行の男だ‼』

 嘘……だろ……。

 結果は最初の先攻後攻を決めるじゃんけんで決まっていたのだ。

『やれ‼』『早く引け‼』『死ねクズ‼』

 罵声が飛び交う仲、自分は唖然としていた。

 銃弾が発射され死ぬと分かっていながらも、銃を手に取り引かなければいけない。どのみち殺される。

 やりたいこと、欲しいものを考えながらも。どうせ死ぬのなら楽に……そう思いながら男は涙を流しながらも引き金を強く引いた。

 観客の歓声とともに銃が鳴らした音は『カチッ』と空砲だった。

 それを見た観客は。

「弾は入ってなかったのかよ‼」

「くだらねぇもん見せてくれたな」

 観客席からビンや缶が飛び交う仲。前に座る男が自分がテーブルに落としたリボルバーを手にゆっくりと立ち上がると。

「なんだ、脅かすためのただの演出だったのか。は、ハハッ、ほれくそ野郎ども弾は出なかったぞ‼こんな遊びに賭けてたバカどもが‼」

 笑いながら観客を煽って、錯乱状態の男はこめかみにリボルバーを当て空砲を見せつようとした次の瞬間、『ドスン』と重い音を立て一発の銃弾が放たれた。

 その銃弾は錯乱した男の頭を貫き、赤い血を周囲にまき散らした。

『七発目?銃の整備不良で一発目が不発だったのか……まぁいいか。 寿命が少し伸びて幸運なのかアンラッキーなのか~‼ 最初に死ぬ運命だった先行の男がゲームを長引かせここまで楽しませてくれたことに拍手を‼』

『『おおおおおぉ』』

 実況も困惑していたが、 男の死に観客は大喜びしていた。

 俺はただ茫然とその光景を眺めていた。

 その後借金は無くり、無事に家に帰ることが出来たが俺だが、一生消えない恐怖を背負いながら長い人生を家の中で過ごした。

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リボルバー 不明 @fumei

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