7【KAC20236】

あーく

「聞いてくれよ七種さえぐさ

「どうした? 七峰ななみねが悩み事とは珍しいな」

二人はパチスロ台のボタンを押しながら会話する。


「朝からついてねえんだよ。いつも通り時に起きたと思ったらよ、分だったんだよ」

「大した事ねえだろ分くらい」


「それが災厄の始まりだったんじゃないかと今になって思うぜ。朝飯あさめしの目玉焼きに味唐辛子かけたら、ふたが取れて一気にドバーッてかかっちまったんだよ」

「目玉焼きに味かけるやつ初めて聞いたわ」


「口直しにバを食べて外に出たさ。ハンを走らせてたら、急に歳くらいのじじいが飛び出してきやがった。あやうく事故じこりかけたぜ」

「年齢がやけに具体的だな」


「今週の星座占いは位だったのによ」

「大していい順位でもないだろ」


すると、七種が異変に気付いた。

「おい! 俺の台見ろよ! が揃いそうだぜ!」

「すげえ! マジだ! 最初は……その次も……最後は――」


最後のスロットは惜しくもを通過し、サクランボに切り替わった。

「だあー! 惜しい!」

わりぃな。俺の不運アンラッキーが移っちまったか」

「気にすんなよ。次があるさ」


七峰はおもむろにスターに火をつけ、白い煙を吐いた。

「今日は俺の誕生日だってのにな」

「そういや今日は日だったか、おめでとう」


「おめでとうじゃねえよ。さっきちゃんからメールが来たと思ったら『別れよう』だって。七夕たなばただっつうのによ」

「そいつは気の毒にな」


「別れることにしたよ。あいつ我儘わがままだったし。俺の浮気もバレちまったしな」

:3でお前が悪いじゃねえか」


「これで振られるのも回目だぜ。福神にも見放されちまったようだ」

「そこは『神』でいいだろ。お前一人に人もいらねえ」


すると、七種は再び異変に気付いた。

「おい! お前の台、が2つ揃ってるぞ!」

「うお! マジだ! 今度こそいけるんじゃねえか!?」

「1個目は……2個目も……! 最後、3個目は――

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7【KAC20236】 あーく @arcsin1203

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