〖KAC20236〗こりゃ何てアンラッキー

センセイ

7

「『7』って、何か、強そうだよな」

「は?」


宝くじのCMを見ながら、マントの男は言った。

それに反応したのは、帽子の男だ。


「何でさ?」

「いや、ね。ちょっと思ったんだよ」


そうして男は語り始める。

0や8は丸すぎる。

3や6、9は先に何か引っ掛けられそうだが、攻撃範囲が限定的すぎる。

2や5、4は持ち手の位置を考えると素手で殴った方が強そうだ。

……と。


「つまり、武器として……って事か?」

「あぁ」

「いや、待て」


話を聞いていたマスターが口を挟む。

そう、ここはバーなのだ。

その雰囲気や客の格好は、西部開拓時代を彷彿とさせる。


……そんな所で宝くじのCMが流れるのは、なんだか少しおかしな事だけれども。


「『1』、まだ言ってないぞ」


話が脱線していたが、そのマスターはそう言ってマントの男に詰め寄る。


「そういえば、そうだったね」


マントの男は思い出したようにそう言って、立ち上がる。


「『1』、確かに突き刺せそうで魅力的だ。でも、『7』には遠く及ばない」

「そりゃどうして?」


マスターはもう身を乗り出して聞いている。


「ラッキー7とか言うからか?」

「あはは、確かにラッキーだ」


マントの男はそう言って背後に手を回す。


「私にとってはね!」


マントの男が大声を出しながら取り出したのは、『7』…?

いや、『鎌』だった。

『7』の形に似ている、鎌だった。


「あはは!ラッキーだ!皆殺しだ!」


そう言って興奮しているマントの男に、マスターは冷静に2発打ち込んだ。


「……えっ…?」

「何を言うかと思えば、」


さっきの様子からは考えられないほど冷めた様子のマスターは、困惑するマントの男に言う。


マスターの持っている銃の形。

……『7』…。


「こりゃ、何てアンラッキー…」


男はそれだけ言い残してバタリと倒れた。


「……7は、ラッキーな数字でなくちゃ」


そう呟くマスターの背後には、大量に積まれた宝くじの山があったと言う……。

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