七尾奈々は7を掴みたい

名苗瑞輝

七尾奈々は7を掴みたい

 私こと七尾奈々の運気は急転直下だ。

 7時にセットした目覚ましが鳴らなかったことから始まって、慌てて起きたら床に転げ落ちていた7人の小人人形を踏んづけてしまう。

 朝ご飯と一緒に飲む牛乳は、何故かいつもの3.7牛乳じゃなくて4.2。成分調整されたやつであんまり好きじゃ無い。

 学校へ行くときにも、エレベーターが何故か7階で止まったまま全然動かなくて、急いで駅まで行ったけれども7番線に降り立ったところで電車のドアが閉じてしまった。


 あまりにツいてない。こんな時には占いを見る。

 占い自体を信じてるわけじゃ無いけれど、占いに合わせる形で立ち振る舞いを変えれば運気も変わるとは思っている。

 占いに書かれていたのはラッキーワード。その文字は『7』だった。

 いやいや。今日って何かと7にまつわる悪いことばっかりじゃん。流石に7がラッキーナンバーなわけがない。

 最初はそう思ったけど、よくよく考えれば今日の私は7という数字に逃げられているとも考えられる。なるほど、幸運は自分で掴みに行けってことかな。


「──で、その結果がその意味不明な頭なわけ?」


 事のあらましを聞いた文香ふみかが訊ねてくる。

 意味不明な頭、というのは私の髪型のこと。あのあと『7』を逃がすまいとヘアゴムで髪を7つに束ねてみた。ツインテールならぬセブンテール。


「九尾のキツネかよ」

「妖術使えるかな?」

「なわけないでしょ。それで、その頭で運気は変わったの?」

「いやあ、それが全然」

「でしょうね」


 結局良いことは無かった。とにかく7という数字に逃げられている。


「そうえば今日の7時間目だけど」

「え? 7時間目?」

「……今日7時間目あるの聞いてない?」

「全然全く」


 また7を逃すところだった。ありがとう文香様!

 しかしホント当てにならない占いだなあ。そう思って再確認すると、ラッキーワードはこう書かれていた。


『フ』


 なるほど、古橋文香の『フ』。

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