七転び八起き

秋乃晃

人生は冒険や!

 日曜の昼間に、映画を観ようとしてテレビを付けたらたまたま競馬番組が放映していて、なんだか大きいレースらしいのでそのまま見てしまった。競馬なんてまったく知らない。おばあさまとモアと俺と三人で、三人ともが映画を観ようとしていたことを忘れてしまった。それぐらい、馬が走る様子に惹かれてしまったのだ。


「競馬場へ行くぞ!」


 当然そうなる。

 高機動型宇宙人。


 調べると、府中にある競馬場は土日しかレースを開催していないようだ。持ち回りで開催するもんらしい。夏の間は北海道のほうにある競馬場がメインになるっぽい。そうだよな。暑いし。馬も走りたくないよ。


 大井町にある競馬場なら、翌日の月曜に開催している。これも南関東四競馬といって週によって船橋だったり浦和だったり川崎だったり。


 まあ、大井なら京浜東北線で行けるし。

 弐瓶教授とマイル先輩を連れて乗り込んだ。


「ユニちゃんのダ○スタで得た知識が活かせる好機チャンスってかーんじ?」

「ぼくもゲーセンで一時期ハマってました。カードをなくしてやめちゃったんですが……馬券の買い方はなんとなくわかりますよ」


 俺よりは詳しいっぽい二人。

 マイル先輩がと言うから『賭けるか、賭けないか』でバトルが始まった。


 俺は賭けたくない。素人が思い立ったが吉日とばかりに競馬場に行ってボロ儲けできるんなら、もっとみんな競馬場に行っているはずじゃん。


 弐瓶教授は「競馬場に行って馬券を買わないなんて、ライブ会場に行ってライブを見ないで物販チラ見してるようなもんじゃーん」と、賭ける気満々だ。作戦でもあるんだろうか。


 マイル先輩はマイル先輩で「実際の馬券は買ったことないから、色々やってみたいな」と挑戦的だ。失った金を取り戻そうとして躍起にならないよう、見守りたい。


 この二人の様子を見ていて、家を出る前までは「おうまさん!」とワクワクしていたモアまで「馬券! 買うぞ!」と乗り気になってしまった。走る様子を見たいだけ、って言ってたじゃん。大損しても知らねェからな。


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