第189話
ある日突然、終わりは訪れた。
しばらく入院していた優介が家に帰れる日が来た。
予定より早い時間に病院から出られた優介は、志鬼に会いに行こうと急いだ。
その帰りに拳銃の
即死だった。
野間口組と、他の組との抗争で銃撃戦になり、その流れ弾が当たったのである。
一般人に被害が出てもかまわないと指示をしたのは、組長だった。
志鬼は自身の父に、親友の命を奪われたも同然だった。
霊安室で優介の遺体を見た志鬼は、身体が動かなかった。
今まで多くの死人を見てきたが、親友のそれはまったく別物だった。
やって来た志鬼を見た優介の母親は、半狂乱で泣き叫んだ。
「あなたが! あなたの家なんかと関わったから優介は死んだのよ! あなたが無理矢理優介を連れ出したから寿命が縮まったのよ! アァアア!!」
「落ち着きなさい! 志鬼くんのせいじゃない!」
志鬼が一緒にいたことで優介の
母親に罵声を浴びせられても、志鬼はただ茫然と立ち尽くすしかなかった。
「妻はあまりのショックでどうかしているんだ。すまない、志鬼くん……私はきみに感謝しているよ、きみと仲良くなってからの優介は本当に毎日が楽しそうだった……ありがとう」
優介の父の言葉に、志鬼は拳を握りしめた。
涙を流すことすら忘れていた。
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