第187話
中学にもなれば立派な不良になっており、家のこともあって一歩距離を取られることも多かったが、そんなことは最初のうちだけで、気づけば取り巻きができたものだ。
当然集まって来るのは跳ねっ返りの不良ばかりで、自分に似た者たちと群れるのは傷の舐め合いのようで、志鬼はあまり好きではなかった。
しかし、まあ、こんなものかと、なんとなく日々を過ごすうちにいつか自分が家を継ぐのか、などとぼんやり考えたこともあった。
そんな中、志鬼に変化を与える人物が現れた。
ある日志鬼が保健室で授業をサボっていた時だった。
窓から外を眺めていると、後ろから声をかけられたのだ。
「あれ、野間口くんも見学……?」
振り向いた先にいたのは背の低い、痩せた身体に不健康そうな青白い肌をした少年だった。
「そんなわけないやん、サボり」
「そ、そうだよね」
「ていうか、誰?」
「あ、僕、
「お前は運動苦手なん?」
「僕は生まれつき心臓が弱いから激しい運動はできないんだ」
この時志鬼は、なんと声をかけるか迷った。自分には当然できることが、目の前の同級生にはできない。親を選べないように、肉体も選ぶことはできないのだと知った。
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