第153話、真実と情熱
あゆらと思いが通じ合い、口づけまで交わした志鬼は今まで以上に熱を入れて捜査に励んだ。
しかし、志鬼のその熱意が知ってはならない真実への扉を開くことになる。
あゆらと清志郎の婚約会見の時、志鬼も強烈な違和感を覚えていた。
あゆらの父、幸蔵と清志郎のあまりに親しげな姿に、何か不穏なものを感じたのだ。それは理屈ではなく、志鬼の野生の勘だった。
志鬼は真夜中、以前アリスに聞いた売春クラブの一つに足を運んだ。
そこでついに、清志郎の被害者であり、その犯罪の証言をしたいという少女を見つけたのだ。
と言っても、まだ本人に会ったわけではない。
正確には、その少女を紹介してくれる少女に出会ったのだ。
初めて潜り込んだクラブと似たような地下室で、酒の匂いが充満する中、身体のラインがよくわかる半袖Tシャツとデニムのタイトスカートを着た短い茶髪をした少女。
彼女は数年前から売春クラブで働かされており、清志郎のことを知っていた。
清志郎に直接会ったことがあるわけではないが、一年ほど前、一緒に働いていた少女に彼の写真を見せられたことがあると言った。
「彼に騙されて売られた」と、涙ながらに語った少女と話が合い、密かに個人の連絡先を交換したのち、今でもたまにやり取りをしているとのことだった。
その少女の名前は、
美鈴に清志郎のことを相談し、引っ越したかつてのクラスメイト。彼女をかばったことで、美鈴の地獄は始まった。つまり、美鈴の死へのきっかけを作った人物とも言える。
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