第39話
「ほな、極道がどんなことしてるかもわかってるん?」
「え……、お、オレオレ詐欺……?」
「微妙なとこ突くな、確かに小さい組はそういうこともしてるらしいけど。大体は法で禁止されてる武器、薬物の取り引き、裏カジノ経営とか、そんなところや」
「そ、そう、なのね」
普段の生活ではまったく出てこない言葉が並び、あゆらは自身の世界の狭さを思い知る。
まだどこか現実味がないようにぼんやりするあゆらを前に、志鬼はインナーを着直すとシャツを羽織った。
「……あなたも、そういうことをしているの?」
「なかなかストレートにすごいこと聞くな」
「だって、極道の息子だからといって、親と同じことをするとは限らないじゃない」
「へえ、嬉しいこと言うてくれるな、大抵は親や育った環境で判断されるからな」
「そうね……なんだか、おかしいわよ、そんなの」
親が偉大だからといって子までもてはやされる、親が犯罪者だからといって子まで蔑まれる。
それなら子は親の延長でしかないのかと、あゆらは疑問を持ち始めていた。
「むしろダサいくらい綺麗なもんや。犯罪らしいことなんか、まあ喧嘩くらいか。でも喧嘩も度を越したら傷害やけどな」
「そう……あなたがしてないなら、いいじゃない、怖がる必要もないわね」
「って信じるん?」
「何、嘘なの?」
「いや、嘘やないけど」
いくら助けたからといって、あんなド派手な刺青を見てすぐに信じると言えるあゆらが、志鬼には眩しく見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます