生まれてきてくれて、ありがとう

もちこ先生

第1話

桜:あーやばい、寝過ごしたー

お母さん:桜!今起きたの?

桜:お母さん、何で起こしてくれなかったの?

お母さん:起こしたわよ。全然起きないんだもの。

桜:あーもー、いってきまーす。

お母さん:あ、桜!朝ごはん、、、あー行っちゃった。いってらっしゃい

桜ナレーション:私はこの時思いもしなかった。お母さんとの日常が終わる時が来るなんて

桜:ただいま〜。今日も疲れたー、お母さん、ご飯ー

お母さん:あら、おかえり。ちょっと待っててね。

桜:お腹すいたー

お母さん:はいはい、ちょっと待っててね。

桜:あのさ、お母さん!今日大学でイケメンいたんだよ。

お母さん:そうなの?あたなじゃ無理ね。

桜:またそういうこと言うー。私は、彼氏作らないだけだもん。

お母さん:はいはい、ご飯できたわよ。

桜:いただきまーす。

お母さん:たくさん食べて、、、、う、、、、

0:バタン

桜:お母、、、さん、、、?ねえ!お母さん、大丈夫?

お母さん:さ、、く、、、ら、、、、

桜:待っててね。すぐ救急車呼ぶからね

0:数時間後

お父さん:おい!大丈夫か!?

桜:お父さん!

お母さん:あら、あなた、今きたの?

お父さん:大丈夫なのか?

お母さん:ええ、大丈夫よ。貧血で倒れただけみたい。

お父さん:そっか、よかった。

桜:お父さん来るの遅いから、プリン食べちゃったよ。

お父さん:何だと!?

お母さん:あはは、桜もう遅いから先に帰ってなさい。お父さん来たから大丈夫よ

桜:えー、早く帰って来てよね。お父さん、お風呂沸かしておくから

お父さん:ありがとう

0:バタン

お母さん:お父さん、大事な話があるの

お父さん:何だ?

お母さん:あのね

0:少しの間

お父さん:ただいま〜

桜:お父さん、おかえり。お母さん大丈夫?

お父さん:ああ、大丈夫だよ

桜:よかった!いつ退院できるの?

お父さん:検査とかあるらしいから、もう少し入院だそうだぞ

桜:そうなんだ、じゃあ、それまで私がご飯作らないとね。

お父さん:お願いするよ。

桜:任せといて

お父さん:、、、、、、

桜:どうしたの?

お父さん:ん?あぁ、何でもない。風呂入ってくる。

桜:変なの

0:その翌日

桜:おとうさーん。お母さんのお見舞い行こうよ

お父さん:あー、お見舞いは俺一人で行くよ

桜:えー何でー

お父さん:ちょっと大人の話があるからな

桜:最近そればっかり、なんか隠してない?

お父さん:隠してることなんてないよ。心配すんな

桜:うーん、わかったよ

お父さん:じゃあ、いってきます

桜:いってらっしゃい

0:病室

お父さん:おい、大丈夫か?

お母さん:ええ、大丈夫よ、、、ゲホゲホ

お父さん:おい、無理すんなよ

お母さん:ごめんなさい、桜は?

お父さん:家にいるよ

お母さん:そうなんだ、会いたいな

お父さん:こんな姿見たら、桜大学行かなくなるだろ。それに、、余命のこと知ったら

お母さん:ええ、そうね。でも、そろそろ話さないとね

お父さん:そうだな、、、

お母さん:私から言おうか?

お父さん:いや、俺が言うよ

お母さん:そう、、、

お父さん:お前の病気のこと、、、

桜:ちょっと待って!お父さん!!お母さんの病気って何?

お父さん:!?

桜:ねえ!お父さん!どういうこと?

お母さん:桜、落ち着いて

桜:お母さんは黙ってて。そうやって二人で、私のこと騙してたんだね。

桜:何で?何で、娘の私に話してくれなかったの?

お父さん:桜!!

桜:もういい!お父さんもお母さんも大嫌い。

0:スタスタ

お母さん:桜、、、、

お父さん:桜には俺から話しとくよ。今日はゆっくり休め

お母さん:、、、、、、

お父さん:じゃあな

0:少しの間

桜:うわぁぁーん

お父さん:桜、ちょっといいか?

桜:何?話したくない。

お父さん:そうだろうな。でも、聞いてくれ

お父さん:これからの家族のことなんだ。開けるぞ。

桜:、、、、、、

0:ガチャ

桜:、、、、

お父さん:桜、あのな。お母さんの病気のことなんだけどな

桜:ねえ?お父さん?

お父さん:ん?

桜:何で、話してくれなかったの?

桜:話したら、大学辞めると思った?勉強しなくなると思った?

桜:何で、話してくれなかったの?

お父さん:お母さんからの、頼みなんだ。

桜:え?

お父さん:お母さんな、病気のこと知った時、すごく落ち込んでた

お父さん:もう、桜と会うことできないのかって

お父さん:家族3人で笑えないのかってさ

桜:、、、、

お父さん:その時な、お母さん俺にいったんだよ

桜:なんて?

お父さん:病気のこと知ったら、桜が笑ってくれないって。

桜:え?

お父さん:桜は優しいから、悲しいこと隠して、作り笑いするからってさ

お父さん:本当の桜の笑顔が見られなくなるからって

桜:お母さん、、、、、

お父さん:だから、二人で決めたんだ。桜には黙ってようって

お父さん:でも、話す時はお母さんからって

桜:、、、、

桜:私、、、お母さんに大嫌いって、、、、言っちゃった、、、、

お父さん:そうだな。明日一緒に謝りに行こう

桜:うん。お父さん、ごめんなさい。、、、う、、、、うわーーーーん

お父さん:よしよし

0:その翌日

桜:お母さん、、、

お母さん:あら?桜。いらっしゃい。おいで。

桜:お母さん、あのね

お母さん:ちょっと待ってて。お父さん、少し席を外してくれる?

お父さん:ああ

お母さん:ありがとう

0:バタン

お母さん:桜、こっちおいで?

桜:うん。

お母さん:ここの病院知ってる?

桜:え?

お母さん:ここの病院ね。あなたが生まれた場所なんだよ

桜:そうなの?

お母さん:そうだよ。あの時は辛かったー。中々出てきてくれないから、お母さんすごく泣いたの

お母さん:お父さんは、臆病だから、部屋の外で震えてたんだって

桜:えー笑

お母さん:でも、あなたの声最初に聞いた時は嬉しかったなー

お母さん:私の子供だって嬉しくて、痛みなんか忘れてたわ

桜:お母さん、強いね

お母さん:そうでしょ!

お母さん:あの時から、私たち3人の家族の物語は始まったんだよね。

お母さん:一緒に遊園地に行ったよね

お母さん:よく喧嘩もしたよね

桜:うん

お母さん:お父さんに隠れて二人でプリン食べて、それがバレてお父さんに怒られたよね

お母さん:もっともっと、桜と思い出作りたかったなー

桜:これからも作ろうよ。ほら、お父さんの運転で遊園地行ったりさ、温泉行ったりしようよ

お母さん:そうね。でも、無理なんだ

桜:無理じゃないよ。今の医学ってすごいんだよ

お母さん:桜、ありがとう。でもね、お母さんはもう十分なんだよ

お母さん:桜の母親でいれたこと、お父さんの奥さんでいれたこと

お母さん:家族の思い出がたくさんできたこと、これだけで充分だよ

桜:、、、、、

お母さん:桜。

お母さん:生まれてきてくれて、ありがとう。お父さんとお母さんを親にしてくれてありがとう

お母さん:あなたは自慢の娘だよ。大好き。愛してる。

お母さん:お母さんは幸せだったよ。ありがとう。

桜:おかあさーーーーーーーーーーーーん

お母さん:よしよし

桜:この三日後、お母さんは天国へと旅立った。お母さんとの思い出忘れないよ。これからの私、天国で見ててね。お母さん大好き。

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