性別変更してゲームの世界でまったり冒険します

キャラネコ

第1話

エアロ ファンタジー

ゲーム内容はMMORPGだが、そこに一風変わった要素が加わっている。

そう、それは拡張現実機能があるということだ。この専用のデバイスを身に付けると味わうことが出来るらしい。俺はこれを見た瞬間、カートに入れてポチっていた。まぁ、あとから調べて買っておいてよかったと思ったから、結果オーライだった。数時間後売り切れしていたときは驚いたけど。

ついに、今日サービス開始だ。


「え~とこれを指にはめて、耳にイヤホンをつけてよしこれで準備は万全だな」

「よしログインするか。あいつはもうログインしてそうだし」

そう言いながら、布団に寝て

「connect」

と言葉を発した。

その瞬間眠るように視界が暗転した。そして気がつくと目の前にはもふもふしたような生き物がいた。

「どうも、はじめまして、私は自立型人工AIのシュラクです」

目の前にいるもふもふした生き物がそう話しかけてきた。それにしてもグラフィックがすごいな。種族は妖精とかかな。

「はい、妖精で合っています」

えっ、まだ何も言っていないはずだが。

「すみません、思ったことを読み取らせていただきました。なかなかおしゃべりなられなかったので」

「それはすみません。驚いていて喋るのを忘れていました」

「そういうことでしたか。そういう方は他におられたのでよく分かります」

「他にもって、もしかしてお一人で」

「いえいえ自分の分身体で対応させてもらっています」

「そ、そうなんですね」

「記憶の同期などが出来るので案外楽ですよ。なってみますか。冗談ですけど」

「今ちょっとヒヤッと寒気がしました」

「それはごめんなさい。ところで私は本物か分身体かどちらでしょう」

俺は悩んだが、こういう場合は本物はどこかで管理をしていたりするのが、普通なわけだからここは分身体だろう。

「分身体かな」

「正解は〜だららららららっででん、本物です。残念でした」

なんか悔しい気持ちになった。

「まったく最近のAIはすごいなぁ」

「そうなんです。すごいんですよ僕」

「でもなんで本物が相手してるんだ。分身体を操ればいいじゃないか」

「それだとモニター越しみたいでリアル感がないんですよ」

「AIがリアル感がないって言うんだな」

「最新のAIですから。長話はここまでにしてキャラデフォにいきますか」

「あっ、お願いします」

「じゃあ、説明するね。基本的に普通のゲームのキャラデフォと同じ感じだけど、性別は変えられないよ。身長は一応変えられるけどあんまり現実とかけ離れた高さにすると現実との感覚が違いすぎておかしくなることがあるからここ注意ね。よーし始めてみよう」

項目を一通り確認する。

「結構色々いじれるんですね」

「そうだよ。現実で手に入れることができない二次元の顔も思いのままさ」

「確かにそういうこともできますね。じゃあ、どうしようかなぁ」

「思う存分悩むといいよ。これに数時間かけた人もいるくらいだからね」

「さすがにそんなにはかける精神力がないな。んっ、さっき性別は変更できない言ってたよな」

「うん、言ったけどそれがどうしたの」

「いや、それがな。できるんだけど」

「もうそんな冗談いっちゃいけないよ。少し失礼してちょっと見るよ。あれ、う〜んとほんとだ、出来るようになってるね。これはバグかもしれないけど出来るんならやっちゃったら、こんなチャンスないよ」

「う〜ん、おもしろそうではあるけど、現実世界に影響とかあるんじゃないの。さっき、身長でちょっと影響あるかもって言っていたし」

「そこんとこは前例がないから、僕は分からないけど、大丈夫なんじゃないかな。身長を例として説明すると、身長を高くしていたら、現実世界で自分が身長が高いような気がして普段届かないような場所にあるものを取れるような勘違いをするくらいだから大丈夫だと思うよ。それに相当なゲーマーじゃないとそういうことは滅多に起きないしね」

「へぇ~、ってそれなら相当連続でプレイしたら行動自体がそうなちゃうのか」

現実でそうなったら大変だなと思いつつも、俺は少なからずワクワクしていた。

「そうかもね。でも君ワクワクしてるように見えるけど」

「え~と、心読んだ」

「読んでないけど、表情に出てるからね」

「えぇ~、嘘」

「ほんとだよ、まぁ出来るんだしなっちゃったら」

「そっ、そこまで言うなら仕方がないな。やっちゃいますか」

「素直じゃないなぁ」

「キャラデフォどうしようかな」

「自分がかわいいと思う最高のものにでもしてみたらいいんんじゃない」

「そうだな。腕がなるぞ~」

「これは時間がかかりそうだね~」

数時間後

「で、出来たぁ」

「んっ、やっと出来たの。どれどれ見せて」

「これぞ、僕の最高傑作だよ」

「おぉ、すごいね。驚いたよ。ここまでのクオリティは見たことないよ」

「あっ、そうなの。これは自分のなかでも飛び抜けていいできだと思うんだよね」

「じゃあ、これでやる?」

「おもしろそうだからこれでやるよ」

「そう、じゃあ姿はこれにするとして、戦闘ジョブどうする」

「戦闘ジョブというと戦士とか魔法使い的なやつ」

「そうそう、その他にもテイマーやアサシンとかいろいろなジョブがあるよ」

「結構あるなぁ。でもこれはもう決まってるんだ」

「そうなの」

「誰でも一度は使ってみたいと思ったことがある魔法を使いたいから魔法使いかな」

「ほうほう、レベルを上げるのは大変そうだけど大丈夫?」

「大丈夫大丈夫、友人とパーティー組んでやるから」

「君はなんとも……まぁいいや、それは問題ないとして、生産ジョブはどうする?」

「生産ジョブ?」

「生産ジョブは言葉の通り生産系のジョブだね。料理人や鍛冶職人とかかな」

「へぇ~どうしようかな」

俺は少し項目を眺めた

「あっ、ちょっといい」

「どうしたの」

「この世界って味覚とかあったりする?」

「味覚は視覚的な影響が強いけど、感覚的には味を感じるのは現実世界よりはちょっと弱いかなくらいだからあるよ」

「じゃあ料理人にするよ」

「美味しい料理を作って食べる気だね」

「そりゃあね、味覚があるって言われたら美味しいものは食べたいからね」

「うんうんこれでだいたい大丈夫かな。おっと肝心なことを忘れていたよ。名前はどうする?」

「じゃあ、キャラねこで」

「結構変わった名前にするんだね」

「それはまぁね」

「これで全部かな。じゃあ世界観の説明をするね」

「おぉ、どんな世界観なんだ」

「えと、ごほん」

ーこの世界は剣と魔法と機械の世界でなんにでもなれるよ。例えば、国家の王様や魔王や教会の中心にだって慣れる。

そしてこの世界は基本的にはレベルがものを言うったりするが、スキルや自分の技量によって格上に勝てたりもするよ。ー

「ざっくりとこんな世界かな。どうかな」

「すっごく面白そうな世界だ。早くやってみたくなったよ」

「それは良かった。期待に添えられることを祈ってるよ。じゃあ、そろそろゲームの世界に送るね」

「じゃあ、おねが……」

「どうしたの」

「シュラクとはこの後は会えないのかなって」

「多分、そうだね」

「そう思うと寂しいな」

「うーん……じゃあ、フレンドチャットの所に僕に連絡できるようにしておくよ」

「ほんとに!?でも大丈夫なの一個人にそんなに優遇して」

「ほんとは駄目だけど、君がちょっとした協力してくれるなら、多分可能だよ」

「協力ってどんなこと」

「簡単なことだよ。さっきも言った通り普通は性別を変えられないけど、君は変えられるからその事について変わったことや違和感などを報告する。それだけでいいよ」

「デバッグみたいなことをすればいいのか」

「要するにそうだね。どうかな。引き受けてくれるかな」

「そのくらいでいいなら、やるよ」

「ありがとね」

「ではゲームの世界にご招待、楽しんでね」

「うん、じゃあ、またね」

そう言った後、白い光に包まれる。

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