妹はマッスル! マッスル!!

関口 ジュリエッタ

第1話 妹はいつもマッスル!!

 気持ちの良い天気の中、部屋で気持ちよさそうに中山光男なかやまみつおは寝息を立てていると、突如、地震のような激しい揺れに襲われ、ハッと目を覚ます。

 ベッドから起き上がると同時に、部屋のドアが大型トラックが衝突したようなもの凄い音と共に粉砕し、破壊された部屋のドアの前には、なんと光男の妹である中山筋子なかやまきんこほがらかな笑顔で腕を組んで立っていた。


「おはようお兄ちゃん! 今日もプロテイン飲んで、激しくマッスルしようぜ!!」

「もっとおだややかに起こせないのか、お前は……」


 顔立ちはとても整ってる美少女だが顔から下は、猛獣のような厳つい筋肉で肩幅も一般男性の何倍の広さ、まるで洋画に出てくるマッチョマン。


「早く起きないと私の鍛え上げた三角筋、大胸筋、広背筋からくり出すパンチをお見舞いするよ」

「――今起きた! さあ、一緒にリビングに行こう」


 過去に、朝なかなか起きなかった光男にしびれを切らした筋子は、光男の脇腹目掛けて強烈なパンチをしたことがあり、筋肉の塊でできた妹のパンチの威力はあまりもにも強く、肋骨を四本粉々に折れた地獄の思い出がある。


 恐怖で目覚めた光男はリビングに向かい、ドアを開けると室内は暖房が三十℃近い設定になってるような暑さに襲われる。


「なんだこの灼熱の暑さはっ!?」

「あっ! 多分私が早朝トレーニングしたからだと思う」

「ここでトレーニングをするなとあれほど言ったろ!」

「私がどこでドレーニングしようがお兄ちゃんには関係ないよね?」

「……そうだね。ごめんね筋子の言うとおりだよ(マジでこぇーーーーー!!)」


 怒りの眼力を向けてくる筋子に、光男はあまりの恐怖に尻餅をつく。

 筋子の影響でリビングが砂漠化してる中、光男は我慢しながら朝食を取ることにした。

 この自宅には妹の筋子と兄の光男の二人で生活をしているため、食事は毎日筋子が作っている。

 その理由は、筋子のパワフルな性格に耐えられなくなった両親は二人が寝ている間に荷物を持って出て行ってしまい、今もどこにいるのかわからず失踪中。

 そのせいで毎日出てくる料理は同じ品ばかり。鶏肉やプロテインなど筋肉に良い食べ物ばかり出され光男は渋々食べている中、妹の筋子とはいうと、リビングに置いてある重り三百キロのベンチプレスをブンブン軽々と上下に動かして筋トレをしている。


「ハァハァ。お兄ちゃんも一緒に筋トレしよう!」

「お前みたいにマッチョになるつもりはない」


 呼吸を荒くしてる妹の筋子を見て、光男は食欲をなくしてしまう。

 食べ終わった光男は高校の行く準備をし、支度が終わると妹が作ったお弁当(プロテインバナナ味)を持って、疲労困憊ひろうこんぱいになりながらトボトボと登校するのであった。

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