第42話 審査開始
「それでは、最初はメンバーの自己紹介から頼む」
「はい!」
即席のアイドルユニット『シーサイドガールズ』。
そのリーダーらしき赤髪の女の子がグラサン試験官に元気よく返事をする。
ちなみに、試験官も5人が俺たちの長机の横に同じように長机に座って彼女たちを見ていた。
つまり、アイドルたちは合計で10人の前でパフォーマンスをするという訳である。
(自己紹介か……もうここから審査は始まっているな)
プロデューサー用の長机にはすでにアイドルの評価シートが置いてあった。
評価シートには、それぞれの顔写真と名前。
『動き』、『笑顔』、『印象』などの項目、そして自由に自分で評価を書き入れて良い大きな空欄があった。
「ではでは、まずは私っ! 『シーサイドガールズ』の元気印、
赤髪の女の子、柳島さんから笑顔で元気よく順番に一人ずつ挨拶をしていく。
グループとしては属性は個性でバラけている方が好ましい場合もある。
その方が様々なファンを取り込めるという利点があるからだ。
とはいえ、これは入学試験。
つまり、実質は個人戦である。
あえて、やる気いっぱいの元気キャラを捨ててまで貧乏くじであるキャラを演じようだなんて人はいない。
印象に残ること、それも好印象で。
素直で、頼りがいがあって、笑顔で、元気いっぱい。
それが、アイドルとして大切なことだと最終試験まで来た彼女たちは熟知しているのだろう。
だから当然、ここは全員が好印象な挨拶をしつつその中に個性を散りばめていっていた。
「――
たった一人、最後にやる気が微塵も感じられない挨拶をした彼女を除いては。
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