岡崎の問い

 ブッコローが伊勢崎町本店に駆けつけると、皆がAIを囲んでいた。ブッコローのぬいぐるみは脱がされ、無機質な球体が露わになっている。

「あ……ブッコロー……」

「壊れたって?」

 Pは頭を掻き、深く溜息をつく。

「わからない……何を聞いても計算中っていって返事しないんだよ。収録が終わってから、岡崎さんとちょっと話してたみたいなんだけど……」

「ザキは?」

「帰ったけど、呼び戻してもらってる。もう来ると思うけど……」

 机の上の球体は羽や足のパーツをしまい込んで、かつ転がることもなく、時折キュルキュルと機械音を立てる。

 羽を伸ばして球体の頭を撫でてみるも、反応はない。軽く叩くようにしても黙ったままだった。

 どうしようもなく立ち尽くしていると、渡邉に連れられて岡崎が入ってきた。

「戻りましたー」

「ザキさん、AI壊しちゃったんですって?」

「ええっ?」

 あえて茶化し気味に振ったブッコローの言葉に、岡崎は目を丸くする。あまり詳しい話は聞かされていないらしい。

「な、何もしてないですよ……?」

「でもPが、ザキと話した後に壊れたって」

「いや、それはあくまで分かってる状況がそうってだけで、原因が何かは俺も分かんないから……」

「あ、でも確かにお話はしましたね」

「な、んて言いました……?」

 爆弾を扱うかのように慎重なPと対照的に、岡崎はきょとんとしたまま、何でもないことのように応える。

「あなたは、本当はどう思ってるんですか、って訊きました」

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