85.追加スキル枠
《――『黄金の包丁』を入手しました》
《――『黄金の盾』を入手しました》
《――『黄金の籠手』を入手しました》
《――『黄金の片手剣』を入手しました》
《――『黄金のタクト』を入手しました》
あれからガチャを引いたりして遊んだセナたちだが、セナが引くと黄金製シリーズばかりが出てくる。
レギオンが引くといいモノがたくさん出てくるので、撫でまくって運を吸収できないか試したりもした。
ちなみに、一回だけだがレギオンも爆死している。『スライムほいほい』とかいう謎のご家庭グッズだ。効果範囲が屋内であり、安値で市販されているアイテムでもあるので、売却しても一万にすらならないゴミアイテムである。
「――報酬の使い道だけど、レギオンはどうしたい?」
「マスターが使いたいようにすればいいよ。レギオンは餌さえあれば満足」
気を取り直して、セナは一位報酬をインベントリから取り出した。
スキルオーブはセナしか使えないのでともかく、EXPブースターと『宝物の夢』という巻物はレギオンと相談することにしたのだ。
しかし、レギオンは美味しい餌が何よりも優先されるので、セナの好きなように使うよう勧めた。
「とりあえずスキルオーブは使うとして……どのスキルにしようかな」
今のセナは狩人寄りのスキル構成のため、追加枠はシナジーのあるものを選ぶ必要がある。
候補を探すためにも、一旦自分のステータスを確認するセナ。
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『セナ』レベル74
“猛威を振るう疫病にして薬毒の神”の信徒
└【疫病の加護】
ジョブ:“疫病と薬毒司りし女神の慈悲無き狩人”
└《クルーエルハンティング》《プレイグスプレッド》
サブジョブ:“烙印狩り”
└《カルマハント》
スキル:
【ダークテイマー】 【ボウハンター】
【真・短剣術】 【投擲術】
【猛毒化】 【真・魔力付与】
【狩人の目】 【採取術】
【調合師】 【木工師】
アーツ:
《テイム》《自爆命令》《キャスリング》
《ライフコントロール》《視界共有》
《ペネトレイトシュート》《プレイグシュート》
《ボムズアロー》《ステルス》
《プレイグポイゾ》《マナエンチャント》
《ハンターズアイ》《コレクション》
《プロダクション》《クリティカルダガー》
《投擲》
従魔:
『ホーンラビット』レベル61
『ヴォーパルバニー』レベル60
『グレーターセンチピード』レベル59
【孤群のレギオン】レベル68
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追加で取得するならば、やはり【ボウハンター】と相性のいいスキルを選びたい。
職業系、生産系は除外して考える。武器系も既に【真・短剣術】があるので除外する。
「(【指揮】……【疾走】……【剛力】……補助系スキルが無難だけど)」
【疾走】は《ブースト》というアーツを修得できる唯一のスキルなので、前戦組ではテンプレ入りしているスキルの一つだ。
【剛力】は名前の通り筋力を底上げするので、素のSTRが低い狩人の欠点を補うという意味では、有りだ。
【指揮】は指示を出した場合に配下のステータスを増強するが、自爆をよく使うセナからすれば無用の長物である。
それよりも、武器を失ってしまう場合に備えて体術系スキルを選択するほうがよっぽど有用だ。
「(でもなぁ……徒手だと今のスキルとシナジー生まれないし、これも無しかな)」
だがやはり、シナジーという点ではあまり意味が無い。
今のスタイルのまま、全体的に底上げできるようなスキルがあれば一番なのだが、そんな都合のいいものはすぐに見つからない。
セナはうんうんと唸りながらスキル一覧を眺め、暇になったレギオンがかまえかまえと前と後ろから挟み撃ちにする。
そうしてしばらくの時間が経つと、セナはあるスキルを発見した。
「……【無詠唱】?」
一旦除外していた魔法欄にあったスキルだ。
これの効果は、起動時に口頭で言わなければならない魔法名やアーツ名を、唱えなくても発動できるようになるというもの。
ただし、デメリットとして威力に0.8倍の補正が掛かってしまう。例えば一〇〇まで出せる威力が、八〇までしか出せなくなるということだ。
これだけなら採用するわけにはいかないが、【無詠唱】にはもう一つの効果がある。
それは、《詠唱補正》というもの。威力に【無詠唱】の下降補正が入った状態で敢えて詠唱をすると、追加で1.5倍の補正が入るのだ。
先の例に倣うと、八〇に下がってしまった威力が一〇〇を超えて一二〇まで上がるのである。
「(……効果対象にちゃんと物理系アーツも入ってる。魔法系のみが対象だったら使えなかったけど、これなら十分にシナジーがある、かな)」
そもそもセナは状態異常で相手を死に追い込む狩人だ。威力ではなく技巧で欠損等を与えるので、多少の下降補正は許容できる。
従魔の自爆も効果対象に入っているので、その際に唱えていれば上昇補正のみが残るだろう。
「……よし、これにしよう」
セナは【無詠唱】を取得することにする。
スキルを探し始めてからもう半日が経過していたが、悩んだだけの価値はあるはずだ。
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