思い出のパン屋

@kyabetu_kun

第1話

パン屋に寄る。


昔からあるパン屋だ。僕が生まれるずっと前からあるんじゃないかな。


目の前には小さな川が流れていて、散歩のついでに寄っていく人が多い。買ったパンを、店の前にある小さな丸太の椅子に座って食べるのもオツだ。




老夫婦がやっていて、内装が人の自宅にお邪魔したような安心感を覚える。ポップも手書きで書かれていて、あたたかみがある。




最近、バイトの女子高生が入ったようで、店内に小さな飾りが増えた。デザイン系の学校を目指しているらしい。


もともとのお店の雰囲気を壊すことなく、良い感じに明るく盛り上げている。




パンは、アンパン、食パン、カレーパンなど、馴染みのあるパンが多い。


他には焼きそばパン、サンドウィッチ、惣菜パンなど、店の小ささに比べてメニューが意外と豊富なので、そこも人気店たる所以だろう。




特別変わった素材を使用しているわけではないが、その分素材の味をとことん追求している。


カレーパンなど、最高級の家庭の味がする。家庭で出せる限界の味とでも言おうか。




もう僕はすっかり中年の域に入ってしまったが、幼少の頃から通い続けており、ふとした時に立ち寄りたくなる名店だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

思い出のパン屋 @kyabetu_kun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る