第04話 逆葬儀屋 3

 晴れた空の下。楼義ろうぎは、公園で遊ぶ少年を見ていた。たまたま近くを通りかかっただけだったが、楽しそうに声を上げて遊ぶ少年を見ていたら、嬉しくなり長居してしまった。そろそろ帰ろうと、公園入口の防護柵から腰を浮かせた。


 ポーンポーンポン。とボールが転がってくる。楼義ろうぎはそれをキャッチする。そこへ少年が走って来た。道路に背を向けて少年の方を向いたとき、車が通過する音を聞いた。


「ありがとうお兄ちゃん!」

「よう、楽しいか?」

「うん! 楽しいよ!」


 楼義ろうぎは微笑んでボールを差し出す。


「なあ、ここは危ないから、ボール遊びするならもっと奥行ってやろうな」

「うーん……、うん! そうだね。そうする」


 ボールを抱きかかえると気まずそうに目を泳がせた。それから思いついたように口を開いて、顔を輝かせた。


「そう言えばぼく、一回しんだんだよ!」

「なんじゃそりゃ」

「かししゃって言うのになったんだって。それを“がくそーぎや”の人たちがなおしてくれたんだ」

「逆葬儀屋、な」

「お兄ちゃん知ってるんだね! もしも“がくそーぎや”の人に会ったら、ぼくがありがとうって言ってたって言っておいてね」

「おう。伝えておくな。だから気を付けて遊べよ、鋼司こうし

「うん!」


 踵を返し、トテテテと駆けて行く。楼義ろうぎも帰路に就く。それからしばらくして、鋼司こうしは立ち止まり、振り向いてから首を傾げた。楼義ろうぎは歩きながら、フェンスとイヌツゲの垣根越しにそれを見て、笑みを浮かべた。

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