ようこそ、神天役所へ。

ruines

第1話

「死んでやる……!」

そう思った。学校ではいじめられる。両親は、とっくの昔に死んでしまってもういない。なので、どこにいてもひとりぼっちなのだ。誰も私が死んでも、問題ない。死んてしまおう。そうすれば、この世界とおさらばだ。

「さよなら」

そう言い、ネットで買った睡眠薬の瓶を開け、すべての錠剤を流し込んだ。

「苦……」

もっとマシな方法があったかもしれない。こんなにも苦いとは思わなかった。だが、これで死ねる。寝てしまえば死ねるのだ。

グラッ……

目眩がする。薬が効いてきたのだろう。これでいい。

「やっと、開放され…る…」

そして私は、意識を手放した。





「はっ!」

目が覚めると、紫がかった空が見えた。勢い良く起きると、多くの人が並んでいる。特に高齢者が多い。

「黄泉の国……?」

想像していたのとは少し違った。なんせ、この人たちは少しボロい屋敷のようなところの前に並んでいるのだから。

「おい。お前。」

不意に、誰かに話しかけられた。声のする方を見ると、黒いローブをまとい、フードを深くかぶった男性が立っていた。

「お前……死人か?」

そう、謎の男性は聞いてきた。

「あ、はい…そうです。」

死人かと聞かれると違和感があるが一応、応えておいた。すると男性は、

「ふ〜ん…」

といい、私の顔をまじまじと見てきた。何か私の顔に付いているのだろうか?

「な、なんですか?」

そう聞くと男性は…

「いや…なんでもない。死人ならこの列に並んどけ。」

といい、ボロ屋敷につながる長蛇の列を指さした。これに並ぶのかと思いながら渋々足を前に出して歩き、列に並んだ。





しばらくして、私の番が来た。

「次の方どうぞ」

そう言われ、中にはいると男性が一人いた。それもイケメンの。

「お座りください」

「はい…!」

そう言われて、少し緊張しながら椅子に座る。

「それでは、お名前と生年月日と住所をこちらにご記入ください。」

「は、はい…!」

言われた通り、名前、生年月日、住所を書いた。

「えーと…紫月琴乃…さん」

そう彼が先程書いた紙を見て、私の名を呼ぶ。

「合ってますか?」

「はい!」

少々お待ちください、と言って裏の方へ行ってしまった。

「かっこいい人……」

きれいな黒髪に、海のような透きとおっていて深い青色の瞳。何より声がいい…。とてつもなく好みだ。そんなことを考えていると、裏の方から彼が帰ってきた。そして彼は私にこう言った。

「あなた…」




“死んでませんよ”



と。






「…へ?」


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