別伝 萌を避けて上手いこと突っ込んできた絵理香の話

 語り手。恋愛破壊神、妙


 そんなこんなで、カオルはすっかり萌に夢中になっちゃったんだけど、萌はまだ恋なんて興味のないお姉ちゃんっ子で。お姉ちゃん大好きっ子で!私のことがだーいすきで!!


「萌ちゃん、1度デートしてみようよ?ね?」

「嫌でーす。ねぇ、お姉ちゃん。放課後一緒にパンケーキ食べに行こ?♡」

「だったら私も行く!」

「え、カオル先輩は来ちゃダメです。姉妹の大事な時間なので。」

「ねーもー、どうしたらいーのー?妙〜!?」


「いや、知らんがな。」

 何度アタックしたって萌はなびきませんよ。しかしまぁ、ずーっとこんな感じもうっとおしいんだよなぁ。。


 正直、まだ萌が誰かと付き合うなんて想像したくない。年齢的にはあっておかしくないんだけど…、姉心ってものがある。でもなぁ、これじゃ自分だって恋をしないまま高校卒業しちゃうよ…。それは嫌だ。。


「お姉ちゃん♡大好き〜!」スリスリ

 これだもんなぁ…。ちょっと最近やたらくっつきすぎというか。


 と、そんなときに現れたのが、萌の同級生の、私がその後長く付き合うことになる絵理香だったんだよね。


 ある日、私が珍しく一人で下校しようとしていて、声をかけてきたのが絵理香だ。


「先輩、ちょっとだけお時間頂けませんか?」

 私はその頃、思わせぶりをしてせっかくの好意を断るのが嫌だったから、好きなひとがいるってことにしていた。当然、その相手はカオルだと思っている人達もたくさんいたんだけど。


「ごめん、誰かな?なに?」

 雰囲気で告白か何かだと察したから、私は少し冷たい印象で返事をしたんだ。


「・・・好きなんです。付き合って欲しくて・・・。」

「あ、ごめんね。私、好きな人がいるの。」

「そ、そうですか、、。その人とは、お付き合いされてるんですか・・・?もしかして…カオル先輩ですか?」

「いや、付き合ってはないけど。でも、ごめんね?ありがとう。」

「はい、すみませんでした。じゃあ、、失礼します。。」


 ここまでは、他の女の子からの告白とあまり変わらなかったんだよね。


(あの子、泣いてたな。申し訳ないな。。)

 やっぱり、告白を断るのはとても嫌だった。でも、優しくしたり気のあるそぶりをしてしまえばもっと悲しませることになる。


 なんで人間って、好きになってもらえない相手を好きになったり、好きになっちゃいけない人を好きになったりするんだろうね。今でもわからないよ。


 まぁ、私はすでに、心から愛し合えるみちるという伴侶を見つけたから、今では良い思い出なんだけどさ!でへへへ。みちるちゃん、、♡


 それで、絵理香は結構ずる賢いと言うか、カオルや萌がいない時に私のところへ健気に来るようになって、最終的には私が折れるような形で告白して、付き合うことになったんだよね。


 これがもう、学校中の、そしてカオルや萌にとって衝撃だったわけ。



 続く。

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