おまけep69 ERK警報③
妙は本来、妹が二人もいることもあって面倒見が良く優しかった。
クラスの友達とは良好で、部活や委員会の後輩によく慕われていた。
「先輩!クッキー作ってきたんです!試食してもらえませんか?」
「え、すごいじゃん!へー!わっ!美味しいよ?」
「ねぇ、妙。日曜、遊びに行かない?」
「いいよ!どこ行く?」
つまり、恋愛的な好意を寄せられる時だけが冷たかった。そうしなければ、相手が諦められないことを散々見てきたからだ。
そんなある日、放課後の教室の入り口に絵里香が現れた。まさか自分のことを待っているのだろうかと思ったが、勘違いだったらと思うと何か声をかけるに至らず、妙は見ないフリをして反対側の扉から廊下に出ようとした。すると、
「先輩!」
やっぱり自分のことを待っていたのだろうか。しつこくされると嫌な態度を取らなければならないのが嫌なんだよ。。
「なにかな?ちょっと用があって急いでるんだけど。」
「あ、ごめんなさい。あの、帰りながらでいいのでちょっとだけ話を、」
「告白の返事ならしたよ?」
「あ、でも、」
妙は歩きながら、「じゃあね」と言ったが、その後ろから絵理香は校門まで付いてきた。
「ねぇ、それこわいよ。付いてこないで?」
「あ、ごめんなさい・・・。でも、少しだけ話をしたくて。。」
「はぁ。。じゃ、今ここで聞くね。なに?」
「あ、ありがとうございます!あの、私のこと、少しでも知ってもらえませんか?ただの後輩でもいいんです。少しでも、先輩と繋がりが出来るだけでいいですから!」
「でも、好きだって言われて普通の後輩みたいに接するなんて出来ないよ。」
「少しでいいです。挨拶したり、一緒に帰ったり、、それでダメだったら言ってください。諦めますから。。」
本来、優しい年下甘やかし属性の妙は、これ以上キツく言うことが出来なかった。
「はぁ、、わかった。ごめんね、冷たくして。挨拶くらいは全然良いよ。」
「あ、ありがとうございますっ!!」
目に涙を溜めて、顔を真っ赤にして、そして手も足も震えている絵理香に、妙は人間としての好意をもってしまった。
(一生懸命、想ってくれて、無下にしたらいけないな。ちょっと、間違えていたかも知れない。)
今までの告白に冷たい返事をし続けたのが、間違いだと気づかせられた日だった。そしてそれから、妙と絵理香はそれなりに挨拶をしたり、会話することが増えたのだった。
続く。
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この流れが終わるまでいちゃいちゃがほとんどないですけど、ちょっと待っててください。
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