第38話 帰還
聖王国の王都マルロムに滞在して4日目の朝。
「ヒビキ君!急いで帰り仕度をしてくれるかい?」
「アルマさん。どうかしたんですか?」
「大変なことになったよ。戦争だ。」
「戦争って…本当なんですか!?」
「ああ。本当だ。ユーザリア帝国がアルスガルド王国に宣戦布告したんだよ。アルマ商会としてもやるべきことが沢山あるからね。すぐに戻らないと。」
「アルマさん。わかりました。ジュリア、俺たちもすぐに仕度しよう。」
我々は、アルスガルド王国への帰路を急いだ。馬が傷つかないよう、細心の注意を払いながら、疲れを忘れて移動を続けた。道中で遭遇する魔物たちには、ひとたび戦姫を投入し、一瞬のうちに鎮圧した。全力を尽くして急ぐが故の選択であった。
経由地である、西方地方バハールに寄った際も、戦争の噂が街を揺るがし、住民たちは混乱の渦中にあった。そのため、必要最低限の補給を得るのみで、直ちに王都へと向かった。その結果、往路に6日を費やした我々は、復路にはわずか3日で王都へと到着したのである。
(アルスガルド王国 王都バラン)
アルスガルド王国の王都バランに帰還したヒビキ達は、戦争の緊張感を感じさせる街並みに目を向けていた。街の中心部では、多くの兵士たちが集結している。彼らは重装備を身につけ、厳粛な表情で訓練に取り組んでいた。また、城壁や門の周りには、防衛用の大岩や弓矢が配置されていた。
一方、市場では、商人たちが騒がしく取引をしていた。彼らもまた、戦争に備えて品揃えを充実させており、武器や装備品が多く並べられていた。中には、王国の紋章が施された盾や剣もあり、ヒビキは自分の目で確かめることができた。
また、街の至る所には、兵士たちが配置され、厳戒態勢が敷かれていた。それでも、人々は戦争に備えつつも、日常生活を送っているようで、子供たちは笑い声をあげ、商店には買い物に訪れる人々がいた。
ヒビキは、戦争の厳しい現実を目の当たりにしながらも、街の人々が持つ力強さと生命力に感銘を受けたのである。
「想像以上に殺伐としているね。私は、商会に戻らせて貰うよ。この国の為にやれることはやらないとね。」
「アルマさん…。でもその本心は?」
「めちゃめちゃ商売の匂いがするわ!」
「あはは。やはりね。」
「これは、蒼天の翼とヒビキ君が依頼を達成した証書よ。代表してアインさんに渡しておくよ。ギルドで報酬を貰ってね。」
「アルマさん。ありがとうございました。」
「こちらこそ、皆さんありがとう。皆さんの無事を祈ってるよ。」
アルマさんは馬車を引きながら、壮麗な姿で商会へと向かっていった。我々は彼女を見送り、やがて冒険者ギルドへと足を運ぶことにした。そこで、我々は大役を果たし、任務を成し遂げた旨を報告することにしたのである。
(アルスガルド王国 王都バラン 冒険者ギルド)
「蒼天の翼の皆にヒビキ君!無事に戻ったんだね。えっと、そちらは…。」
「ヒビキ様の従者ジュリアです。」
「えー!ヒビキ君が従者を…。まあ、いいわ。それで、依頼は達成できたのかな?」
「マスター!バッチリだぜ!」「リーダー。偉そうに…。本当は、ヒビキ君と戦姫のお陰じゃない。」「おい!リセ!余計なことを…。」
「あはは。何となくわかるかも。証書は、確かにアルマ商会の物ね。受理しました。報酬は、金貨3枚ね。」
「うっしゃ!」「ありがたや。」「皆で分けましょ。」
ルナさんから報酬を受け取り、分配の話になる。
「盗賊討伐の報酬が金貨4枚だった。護衛の成功報酬が金貨3枚。合計金貨7枚だ。ヒビキは、3枚でいいか?」
「いや、そんなに貰えませんよ。均等に分けて貰えばいいですよ。」
「私達より、ヒビキ君の活躍が大きかったじゃない。流石に均等は悪いよね?」「そうそう。美味い飯もたらふくご馳走になったしな。」「私も異論なし。」
「では、有難く頂きます。」
「私達も一人金貨1枚貰えることなんて今まで無かったもの。ホクホクで喜んでいるんだから。」
「そうでしたか。ジュリアもいますし、助かります。」
「ありがとうよ!ヒビキ!また、次も一緒にやろうや。」「ヒビキ。世話になったな。」「バイバイ!楽しかったよ。」「ヒビキ君、またね!」
報酬は、揉めることなく分配された。みんなより余分に頂いたが、ジュリアのこともあるから遠慮なく頂いてしまおう。本来ならば、このまま蒼天の翼のみんなと打ち上げになる筈だが、状況が状況なだけに今回は見送られた。
「ヒビキ君!」
ギルドマスターのルナさんに呼びとめられた。
「ちょっと話があるんだけど…。」
―――― to be continued ――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます