第23話 異世界の味
ニャンコックの夕食に、ニャメコックの朝食まで堪能した一同は、すっかり異世界の食事の虜になったようだ。
「ヒビキよう!どうだ?うちのパーティに入らないか?」
「アイン。失礼よ。あからさまに料理目当てじゃない。」
「あはは。あの料理は、それだけ凄まじい破壊力だったよ。」
「すみません。アインさん。しばらくは何処かに所属しないでのんびりやろうかと思っています。」
「いいって、いいって!ヒビキ達の飯にありつけるチャンスは、まだまだあるからな。楽しみにしてるぜ!」
「ヒビキ君!」
(ありゃりゃ。こっちにもいたわ。)
「不思議な道具や、味わったことのない料理の味付けについて聞きたいんだけど。」
「やっぱりそうなりますよね?では、移動中にお話しますよ。」
――――
(2日目 アルスガルド 中央西側地域 スタイン地方)
2日目は、アルスガルド王国の中央西側地域に位置するスタイン地方の平野部を走行している。二頭の馬達は、充分な休息のお陰で、今日も調子が良さそうである。
今日は、アルマさんが御者を務める隣でサポートと監視役をしている。話題は、この世界には存在していない道具や、提供した料理の調味料の話である。
「ということは、昨日の味付けは、この世界にない調味料がもたらした奇跡な訳ね。因みに同じ調味料をこちらで作ることはできるのかしら?」
「そうですね…多分可能だとは思いますが、俺はその分野には明るくないので、俺が作るということならば難しいです。しかし、原料を含め、生産方法を調べたり、その為に必要な物を揃えることは協力できるかも知れません。」
「いいわねぇ。どういった調味料が必要なのか、どんな味でどんなことに使えそうなのか、吟味してから決める必要はあるかな。また、追々でいいから見せて貰えるかな?」
「ええ。いいですよ。」
「それで、昨日使っていた。強力な火を発生する調理器具だけど、あれいいわね。私の所で卸せないかなぁ。」
「ごめんなさい。それは難しいですね。あれは、石油やガスなどの資源を必要とする製品なのです。流通して大勢が使うとなると、資源確保の問題が起こりますし、環境汚染の問題も心配になりますので…。」
「そっか。それは残念!じゃあ、他に何かないかな?」
「そうですね…。道具ではないのですが、昨日、今日と召し上がったお米の栽培方法の情報提供と、米の種である種籾のご提供はどうでしょうか?」
「え、いいの!?乗った!!」
「但し、俺は、調味料と同じく、生産する方はあまり詳しくないのです。生産方法を詳しくまとめた物を用意するので、そこから先は、アルマさんが頑張って形にして下さい。」
「それは、任せて~!やり方さえわかれば、農家の人脈もあるし、大丈夫だよ。」
――――
(休息ポイント)
馬を休めるので、1時間ほど休息を取った。
アルマさんにせがまれたので、調味料を一通り出してみる。醤油、味噌、ソース、塩、砂糖、マヨネーズなどを皿に乗せて確かめて貰う。
「しょっぱい!これが醤油?うーんイマイチかも。」
「では、これを試してみて下さい。」
俺は、ストレージから余ったご飯に生卵を乗せて良く混ぜ手から器をアルマさをに手渡した。いわゆる卵かけご飯である。ストレージは、時間停止しているので、今でも温かいままである。
「うーん。薄味でイマイチかな?」
「では、醤油を適量入れて混ぜます。どうぞ召し上がって下さい。」
「え!嘘っ!凄く美味しい!旨味がこれ程引き立つなんて凄いわ。なるほど、醤油は単体ではなく、料理に融合させてその旨さが表れるのね!是非、欲しいわ。」
醤油については、かなり高評価を頂いた。続いては、マヨネーズを試して頂く。
「これは、マヨネーズといいます。色々な食べ物に合うので結構人気が高いですよ。」
「まあ!これは、そのまま食べてもまろやかで美味しいわね。気に入ったわ。」
こんな調子で試食しながら全ての調味料を体験して貰った。結果、アルマさんが導入を検討する調味料が決まった。醤油、味噌、ソース、マヨネーズの四種類だ。遠征終了したら、俺がサポートしながら商品開発を行うことになった。
―――― to be continued ――――
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