誕生日プレゼントは筋肉ストラップ
綾乃姫音真
誕生日プレゼントは筋肉ストラップ
「なぁ、お前の妹から渡されたストラップなんだけどさ」
昨日、誕生日プレゼントとして貰ったストラップ。それに恐怖を感じて元幼馴染で現彼女の
「ストラップ? あの子、迷ってた割に普通のにしたのね」
「普通じゃないんだわ」
一果の目の前に件のストラップを掲げて見せる。
「ひゃぁ!?」
滅多に出さない甲高い悲鳴を上げて後退りやがった。正直、可能なら今すぐにでも投げ捨てたいくらいだ。ただ、一応は誕生日プレゼントで貰ったモノだからな……。
「……」
「な、なによこれ!?」
余程衝撃を受けたのか、長年一緒に過ごしていて初めてのレベルで俺から距離を取っていた。幼馴染時代は少し動けば触れ合う距離感で、彼女になってからは当然のように更に近くなった。こんな風に一果自身の香りが届かないくらい離れるのは珍しい。
「上腕二頭筋のストラップらしい。ちなみに触り心地は生々しいぞ?」
試しにと差し出すとビクッとしてブンブンと首を横に振っていた。
「ぶっちゃけ気持ち悪いんだけど……絶対にスマホとかに付けないでよ」
「お前の妹から貰ったんだが?」
「責任持って怒っとくから!」
シスコンの一果が怒る宣言するとか、よっぽど嫌なんだな、このストラップ。俺はそんな彼女にある情報を伝えないといけない。
「なぁ一果。お前って明日誕生日だよな?」
「…………」
いつもニコニコと明るく元気な一果の表情が絶望に染まる。どうやら俺が告げようとしている内容の想像がついた。ついてしまったらしい。
「やだやだ、聞きたくない!」
「『お姉ちゃんには上腕三頭筋のストラップをあげるね♪ 末永くお幸せに!』だとさ」
「最後の言葉だけでいいから! ストラップいらないから!」
「高校生姉に筋肉ストラップをプレゼントする中学生妹。仲のいい姉妹だな」
「思ってもないこと言ってんじゃない!」
そんな一果の叫びが、俺の部屋に響いたのだった。
誕生日プレゼントは筋肉ストラップ 綾乃姫音真 @ayanohime
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