自分のやりたい事
『ルドイド!!も〜ダメだぞっ?こんな所に来ちゃっ!』
優しいガゼと共に聞こえてくるのは、姉の優しい声。
姉の目は優しく揺れて、短い白髪(はくはつ)をなびかせる。いつも僕の手を引いて、優しいてで僕を包み込んでくれる。色んなものから僕を守ってくれる。そんなお姉ちゃんが僕は大好きだった。
大好きだったんだ。
『どうしたの?ルドイド?』
『お姉ちゃん、大好き!!』
『ふふっありがとう』
優しく笑いかけるお姉ちゃん。そんな優しいお姉ちゃんが大好きだった。
「今でも、大好きだよ。お姉ちゃん」
石階段の手すりに腰掛けてルドイドは今は亡き姉を追い出していた。
ルドイドには分からなかった。どうして、あんな優しい姉が、犯されて、殺されなければならなかったのか。
『あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!あ゙づい゙ぃ゙ぃ゙!!!助けてぇ!たすけて!!だれぁぁぁぁぁあ!』
脳裏によぎるは瀕死だったとは思えない姉の燃え盛り、のたうちまわる姿。
あんな残酷に…生きたまま八つ裂きにされ、燃やされなければいけなかったのか…分からない。
「見つけなくちゃ…」
復讐するために。最愛の姉を生き地獄へ突き落とし、弄んだアイツ(帝国の奴)らを皆殺しにする為に。
「殺す…殺す…殺す…皆、殺してやる…」
燃え盛り、手足の無い体で必死に助けを求める姿を指を指して笑ったヤツらを皆殺しに!!!
「それは無理だよ」
ルドイドの前に立つのは黒髪の長い少女。ルドイドの独り言に答えるように言う。
姉の白くて短くふわふわして優しい髪と、色素の薄い薄紫の瞳とは真逆で、黒髪に重い長髪。全てを写し、通さない黒い瞳の少女が立っていた。
それはさっきガルの後ろに倒れて恐怖で足をすくませて、腰を抜かしていた少女だった。
「やぁ、ルドイド…」
(なぜ俺の名前を知っている?俺はコイツと会ったことがあるのか?いや、無い…こんな奴知らない…)
「お前、名前は?」
ルドイドが聞けば、少女は「アスカ」と普通に答える。
「ねぇ、ルドイド。君はお姉ちゃん、好き?」
「あ?あぁ。俺は、姉を殺した奴らに復讐するためにここに居るんだ。邪魔するなら、お前も殺す」
アスカは大きく深呼吸して、ルドイドを睨みつけた。それはアスカにとって、過去の自分と、今の自分の決別だった。
「やってみなよ。やれるものなら」
ーーーーーーーー
五分前、まだガルとアスカが倉庫にいた時。
「帝国が管理している異常者のリストはこの地下に厳重に保管されてる。ここで銃が発砲されてるのに、ブザーやらなんやらがなってないところを見ると、この図書館自体の回線は全部切られてるんだと思う。予想だけどね。でも、もし切られていたとしたら…帝国本部から施錠が出来ない」
ガル首を傾げる。
(何故そんなことを知っているんだ?そもそも、なぜ帝国本部とこの図書館が繋がっていると知っているんだ?)
疑いの目でじーっと見てくるガルにアスカは慌てて
「い、いま私を疑ってもしょうが無いでしょ!!と、ともかくだよ?ともかく!……地下のリストの保管庫に施錠する事をガルにやってきて欲しい。その間、私がルドイドを止める」
「待て、今、お前は異常を使いこなせていないだろ。それで戦うのは死にに行くようなものだ。俺が行くべきだ」
強く言うガルにアスカは冷や汗をかいて言う。
「その…檻を作動させるとね、レーザーの線が作動するんだよねしかも、鉄も溶かしちゃうやつが……」
「それが?」
シンプルなガルの質問にアスカは全力で目を逸らして、小さな声で言う。
「万年運動不足に…くぐれると思う?」
「…」
ガルの引いたようなゴミを見るような目にアスカはガルの体をポカポカ殴りながら言う
「やめろよぉ!そんな目しないでよぉ!一般人なんだよォ!私はぁ!君みたいに特殊な訓練とか!実験とかないんだよォ!」
「はぁ…」と、ガルは大きくため息をついて、アスカを引き離す。
「話を要約すると、運動不足で防犯システムを作動すると出れなくなるから、自分があのプロテスを止めて動ける俺が行け。そういう事か?」
「その通り!さっすがぁ!」
「言っておくが、俺は作動方法知らないぞ。地下への入り方も道もな」
「あぁ、それは平気」
と、アスカはガルの肩に手をポンッと置くと
「今から言うことを一言一句全て覚えてね!よろしく〜行くよぉ〜!」
と、そこから五分間のパスワードの暗唱が始まった。
地下への行き方もアスカはスラスラ話して
「後で合流ね〜!あ、そうだ。念の為に手鏡貸してあげる。返さなくていいのよォどうせ壊れるから」
と去ってしまった。
というわけで、ガルは図書館の地下で言葉で五分かかるパスワードを打っていた。
床下収納に隠された扉の長く長く続く螺旋階段。絶対に見つからないように、仮になにか来たとしても、生き埋めにできるように、脆く、暗く、作られたこの空間は牢獄に近いものがあった。
(本当に、アイツは無茶を言う…俺が記憶力に優れていなかったらどうしてるんだ。もしかして、あいつはそれを知っていて言葉に変えたのか?俺の記憶力を知っている上で?)
空中に浮かぶ光のキーボードで打ち込んで、スペースを押して確定すれば言われた通り簡単に開いた。
(いや、どうしてこのパスワードを知っているんだ…の疑問が先か)
ガルは開いたドアを開くと近未来的な鉄の空間が広がっていた。リストであろう紙束が一番奥にガラスケースにしまわれて、分厚く重々しい金庫のドアが開かれて置かれていた。
(なるほどな。コンテナにしては…)
ガルは青い瞳を動かして高圧レイザーが出ると言っていた箇所を確認する。
(随分、武装だな…)
ガルは足を踏み入れて、目の前の一番奥の最も頑丈であろう扉の前まで来ると、ボールペンを分厚い金庫の中に投げ入れる。
数本の赤い光線が、ボールペンが地面に着く前に当たり、鉄の床に落ちたのは液体だった。
ガルは光線の元を辿り、装置を見て、後ろの天井やヘリを見る。ボールペンを液体にした光線の装置と同じだ。アスカの話だと、非常ボタンを押したらコレが発動するらしい。
ガルは重たい金庫の扉を閉める。
一番奥であるこの場所から唯一の出入口まで約二十メートルある。オマケに出入口は成人男性一人分の肩幅程しかない。ギリギリ通れるが、小さい扉の前には黄色と黒のトラテープが貼ってある。
(テープを踏んでもレーザーの餌食にはなりそうだな)
それ以上に、この二十メートルはある場所をどうしたら越えられるか…
ガルは考えた。
(まぁ、いいか)
ガルは横にある赤い非常ボタンを躊躇いなく押す。
その瞬間、帝国本部よりも煩くブザーが鳴り響いて視界が赤く染る。
出口を見ると、ブザー音と共にゆっくりと閉まってく。
「っ!」
ガルは地面を大きく蹴って、靴のに着いていた砂埃が舞う。ガルの体はほんの二十メートル程の距離を軽々と大幅跳びの要領で飛んだ。
(チッ……数ミリ足りないッ!!!)
出入口の黄色と黒のテープに足が着いた瞬間、ピピッ!と、機械的な音が鳴り、赤い光線ガルのこめかみを貫いた。
ーーーーーーーー
ルドイドの重たいかかと落としがアスカの尾てい骨辺りに落とされた。
「がはっ!」
痛みはない。けれど、衝撃と痺れが体に回る。骨が折れたわけじゃない。いや、もしかしたら折れてるのかもしれないけど、痛くないから分かんないや。
(お姉ちゃんの百倍重いッ!!!)
そりゃそうか、私が殴られて、ボコボコにされたのなんて、だいぶ昔だ。子供で女だ。鍛えられた男とは天と地の差か…
「ゲホッ…」
じんわりとお腹が苦しくなって、胸焼けしたような食べ過ぎたような苦しい感覚がお腹を巡った。
(打撃って、痛い判定じゃないんだ…これ結構痛いになると思うんだけどなぁ…苦しいになるのか…)
「大口叩いた割に弱っ弱だな。あの新人君が来た方が良かったんじゃなの〜?」
とルドイドは私の背中を踏みつける。
「私…戦闘タイプじゃないんだよ…知識なら…負けないけど…」
「ふーん。俺の名前を言い当てられたのはその知識のおかげたんだ。そういう異常?」
「全然違うけど…まぁ、直結はしてるかな」
「ふーん。まぁ、どうでもいいけど」
そう言って、またルドイドは私に銃を向ける。完全に私の頭に照準を合わせている。
「ねぇ、お姉ちゃんは好き?ルドイド」
「またその質問?好きだよ。大好きだよこれで満足?」
分かりきっている答えだった。
「ルドイドのお姉ちゃんはどんな人?」
自分の頭の中によぎるのは、よく分からない自分ルールを家族に押し付ける。少しでもイラついたら物にあたって、不機嫌になって暴言を吐く。正論の様に話をすりかえる。大きくなって、殴っりする事は減ったけど、今でも時折、足や手が出る。私の姉だ。姉はそんな人だ。
「俺の姉ちゃん……優しい人だよ。しっかり者でよく周りを見ていて、頼れる人で、俺や、別の年下達もしっかり面倒見るような。優しい人だ」
ルドイドの姉は、
私の、他人から聞く姉の像そのものだから…
赤の他人から聞く話の姉だから。
家の外ではそういう人なのだ。
そういう人なんだ。怒らせなければ…
優しい、良いお姉ちゃんなんだよ。
“ルドイドは、私が姉を好きでいようとした、好きでいたい自分なんだ。”
でも…今更か。
「やれやれ…無駄か」
「あ?もういいや、殺そ」
ルドイドはハンドガンの安全装置を外して引き金に指を入れる。
はぁ、私なんかが、誰かをハッピーエンドにするなんて無理だよ。
倒さなくちゃとか、超能力だとかそんなの、考えるしかできないもん。オタクに戦闘能力求めないで欲しいね。
最初から、自信なんてないんだよ。持てやしないよ。だって、全部お姉ちゃんが私のこと決めてたんだもん。お姉ちゃんがいなくちゃ、私は、“正しい判断”が出来ない。
ずっと、お姉ちゃん任せだったから…
『あんた何時までボーッと生きてる気?』
頭によぎる。姉の声。
煩いな…。お前が奪ったんだろ。
『いい加減やめたら?自信ないからって全部諦めんの』
私の自信。一つ残らず、全部。
だから私は、他人の間違えを言えない。この本の中ですら、私が間違ってるんじゃないかって、思ってしまう。
私なんて、死んだ方がずっとマシだろ…
風が吹く。きっと、数秒も経ってない。下手したら、0,0001秒ぐらいしかたってないかもしれない。思考が、早まって、ずっと走馬灯みたいなのが流れてく。
『お前は凄い奴だ。俺はそう思う』
ガルの青い瞳が浮かんだ。
真っ直ぐで、嘘偽りのない言葉。呪いのような言葉を軽くする、ガルの声が聞こえた。
そんな気がした。
それだけなのに、ちっぽけな一言なのに…一気に体が軽くなった。
私ならやれると、そう思った。
「っ!」
ルドイドに私は自分のポケットから数十枚の紙を投げつけた。
心臓がゆっている。
今、私は使える、と。ゆっている
肺に酸素を入れて、横隔膜を使って、ハッキリと、私は言った。
「ルドイド、動くな!!!!!」
『異常・綴る者(デウス・エクス・マキナ)』
動けないルドイドは困惑する。が、すぐに私のかけた異常は溶けてしまった。
「ふーん、これが君の異常ね。強そうだけど、完全に操れないと、なんの意味もないんじゃない?」
ルドイドが動けない間に直ぐに離れた私は足元に落ちている本を抱きしめる。
「そうだよ。言霊の力を、私は最大限に生かせる方法をだいぶ前から思いついているのさ!!」
「はぁ?」
ルドイドは私に銃を向け照準を合わせ、躊躇いなく、引き金を引いた。
その弾丸は確実にアスカに合っていて、外れるなどありえない弾道だった。
その弾はアスカの前で止まっている。弾は数秒アスカの前で止まると、そのまま高いカランという音を立てて石畳の床におちた。
「ᛉ(アルキズ)。北欧神話はファンタジーのお決まりってね!」
アスカの手には光る文字が書かれた紙があった。
「は?ファンタジー?そんなので弾丸を止めたってのか?」
「北欧で使われていた文字で、ルーン文字っていうのがあるんだよ。基本的には武器に名前書いたりするものなんだけど…それが現代では占いに使われ文字に意味が持たされてる。或る意味漢字と同じなんだけど…画数以外の占いじゃないから…ルーンが良いねで、落ち着いた」
「はぁ?ますます意味がわかんないんだけど?」
ルドイドは数発撃つ。またもや弾丸はアスカの前で止まって、落ちる。
(あの紙…いや、書いてある文字か?どっちにしても厄介な異常だな…)
ルドイドがナイフに持ち替えた瞬間、思いっきり叫ぶ。
「ᚹ(ウィン)!!ᚦ(スリサズ)!!」
ルドイドの周りに散らばっている紙切れが強く光って、茨がルドイドに絡みついて、その場に膝をついてしまえば、地面に茨の蔦が刺さって、動けない。
(畜生…)
全く動けないルドイドの首にアスカは手をかけた。
ルドイドの太い首に少し力を込めるだけで、脈打っているのがわかる。
(生きてる…)
私のキャラが…生きてる。でも、殺さなくちゃ。この子が死ななくちゃ、ストーリーが進まない。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。殺さなくちゃ。
___殺さなくちゃ_お姉ちゃんを好きな私を_殺さなくちゃ……。
横から私の腕を強く掴む手が現れ、たどると、見覚えのある青い瞳と黒髪だった。
「アスカ。殺す必要は無い」
殺さなくていい…私は…お姉ちゃんを好きでいていいのかな?
ガルには絶対にそんな言葉の意図は無い。わかっているが、何故か肯定された気がした。
いや、違う。単純に私が殺したくないんだ。姉を好きな私を。
大っ嫌いで、大好き姉を…、嫌いたくないんだ…
ルドイドの首から私の両手が離れて、数歩下がる。
「ガル……」
ガルは代わりに刀の刃がルドイドの首にむけられる。
「っ……」
ルドイドはガルを睨みつけ、冷や汗が頬を伝う。
「お前に聞きたいことは沢山ある。一緒に来てもらうぞ」
「フッ…殺さないなんてお優しいねぇ?」
「勘違いするなよ。お前がこれから進むのは尋問だ」
ガルの声は恐ろしく冷たく、隣にいるだけの私ですら鳥肌が立って血の気が引いた。
ガルの冷たい目がルドイドに何度もつき刺さっている様に思えてしまって、体が震えた。
「ガ、ガル……?」
「なんだ?」
ガルの低い声で普通に振り返った。さっきまでの冷たい雰囲気が全て消えた。私はその事に胸をなで下ろした。
「ルドイド…どうするの?」
「俺がこのまま引き渡す。あとは第二部隊がどうにかするだろ」
第二部隊…帝国の少数精鋭部隊は、隠密かつ諜報、尋問部隊の役割を持つ部隊…。
怖っ…設定考えたの私だけど!!
「アスカ」
「は、はい?!なんでしょう!」
ガルは私の渡した割れた手鏡を差し出して来て
「ありがとう。助かった」
「ああ、どういたしまして」
「高熱レーザーは鏡で弾けるんだな」
トラテープを踏んでしまったガルののこめかみを守ったのはアスカが渡した手鏡だった。ほんの0.5秒だけの時間稼ぎだったが、ガルが脱出するには十分だった。
「まぁ、0.数秒だけどね」
「十分だった。ありがとう」
「それで、ガル…お願いが…」
「なんだ?」
私はルドイドに絡みついている茨を指さした。
「切って?この蔦…しまえなくなっちゃった…」
ガルは(うわコイツ…マジか)みたいな顔で見る。
「しし、仕方ないじゃん!さっきからしまおうと頑張ってるんだけど、全然消えてくれないんだもん!」
「はぁ。離れ…ッ!!」
一瞬だった。全く気配もなく、私の耳の後ろから黒い棒が出てきてガルが咄嗟に避けた。
ルドイドに体を押されて、初めて黒いローブを着た人間が立っていることに気づいた。
ガルの焦った顔といくつもの棒が刺さるルドイド。
なんで、私は考えなかったんだ?ルドイド以外の敵がこの建物の中に居ることに…。
少し視野を広げたから考えられることだろ?なのに…。いや、違う。だとしたらルドイドを攻撃する理由は無い。コイツは、今来て、捕まったルドイドを見て始末しに来たんだ。
ガルが素早く反りを変えた。いつも鈍い銀色の刀が白く光って男の肩に刺さる。
「ほぅ…この状況から反撃するか…不意打ちのつもりだったのだがな」
黒いローブの男は不敵に言う。
この声は知らない。でも、この言い方、この異常は知っている。
「ちゃんと不意打ちだったぞ」
黒いローブに白い光が何度も走る。ローブが積み木が崩れるように散らばった。
(逃げられたか…)
ガルは刀をしまい、振り返ると、ルドイドは虫の息だった。アスカがルドイドに刺さった棒を抜いている。
「抜いてもそいつは死ぬぞ」
ガルは事実を言った。急所を何ヶ所も貫かれ、瀕死だ。アスカはそれをわかっている。分かっていた。でも、諦められない。諦めたくないと思った。
人殺しなんてできない、したくない。今まで小説の中で、散々殺してきたかもしれない。いや、確実にそうしてきた。その結果の、その集大成がこれなんだ。この作品なんだ。ストレインレッドだ
わかってる分かってる…!
「死なせたくない。意味無く、死なせないっ!ᛇ(エイフワズ)!!!」
自分の腕に付いた血でルーンを書いて、ありったけの力を込める。
死なせないっ!!!死んで欲しくない…!!
血文字が強く光る。ガルは焦ってアスカの肩を掴んでも、アスカは力を弱める様子は無い。
「アスカ!!待て!それ以上力を込めたらッ!!」
ブチン
自分の中の何かが鈍い音を鳴らして切れた。その瞬間、アスカの頭が考えることをやめ、ボーッという耳鳴りのような音がこだました。意識が遠のいていく中、アスカは思う。
(嗚呼、やっぱり私は、普通の人間だ。だって、誰にも死んで欲しくないんだもの…普通すぎて、何も出来ない…)
「アスカ!!」
ガルの声が遠のいた。
作者が自分の世界にトリップしたので生き返るために最高のハッピーエンドを目指す事になりました!! 華創使梨 @Kuro1230
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