第1話 異世界行ったら戦争だ!!
突然だが、異世界に行ったら何をまず最初にするのだろう。
のんびりスローライフ、魔王を倒しに冒険へ、気になるあの子と恋仲になる学園生活、それとも....暗殺?
考えるだけ無駄かと感じる。だって.....今、俺は——。
辺りを見れば、屍とそれを貪る獣。獣は一生飢え続け、その屍たちは、死を遂げた後も貪られ、無残な姿になる。
――これが、戦争だ。
事の発端は、突然にやって来る。だいたいの人がこうじゃないだろうか。
初めは、俺だってどこにでもいる普通の人だと思っていた。...あの事が起こる前までは——。
中学の頃の友達はみんな私立に行ったから、俺が陽キャじゃなかったから、理由はいろいろあっただろうが、俺は公立の高校を選んだ。その高校は、いわゆるダメな高校で、そこに上がると、すぐに目を付けられた。
――いや、目を付けさせたの間違いか、俺はそいつらに歯向かった。とても可愛い女の子が居て、絡まれていたところを助けて、あわよくば付き合いたいと思っていた。
それが主な原因なんだろう。その後、その子はお礼をして帰った。その翌日からが散々だった。放課後、授業中、休み時間、誰が見ていてもどこにいても、殴られ、蹴られ、罵られ、とにかく散々だった。有名な恋愛小説でテンプレなのは、この後、主人公とその子が恋仲になるのだが、一つだけ、欠けていたんだ。“圧倒的な力”だ。
だから俺は余計なことをしたなと今、後悔している。痛みが走る頬に手を添え、すりすりしながら家に帰るのがほとんどだった。そこまでは何とか耐えれた。....だけど——。
——今までにないほどの恐怖をあの時、感じた。
それが、初めてナイフで切られたときだった。
熱い液体、血、これを流して、鈍い痛みが走り、苦痛に呻いた。やつらは笑っている。笑いながら、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も、刺して、切って、解放されたのは、さすがにまずいと感じたのか、いつもは俺が殴られても見て見ぬふりをするもうすぐ定年だろう男、いや、ジジイの教師だった。
しわくちゃな顔をしながら、止めに入ってくれた。泣く気力すら無く、意識がボーっとして——————。
俺は、死んだのだ。ナイフで刺されたことによる出血多量で。
目を覚ますと知らない人.....いや、顔が無い!?
「....起きたか」
喋れない......?
「あァ、クちなインだ」
口が....無い?
「ごメんね、ここニクルひト、ヒサしぶリだから」
もう少し待ってねと言葉にしなかったが、なんとなくそう感じた。
「......あ.....あ....あいうえお!!......よし!戻った!!」
なんかガッツポーズしてる。
「はい、これ!」
光が俺の体を包んで.....って喋れる!?
「ようやく話ができるね!私は.....!.....えーっと....誰だっけ?」
「知らないのかよ!!」
思わずツッコんでしまった。
「あ!そうそう、私、今は宛名.....?みたいなものだよ!」
「宛名?.....あ、アテネか!」
「そうそう!あてn.....アテネ!」
そうして、このアテネさんはどうやら神らしいという事が分かった。
「君をここに呼んだのは私なの!本当はこのまま輪廻の輪に流そうと思ったんだけど......あなた、見込みがあるわ」
「見込み?」
この後、この神はとんでもないことを言い出した。
「——あなた、魔王になる気は無い?」
これが後に、一つの世界を滅ぼしたとされる伝説の魔王の話。今はまだ、始まりに過ぎないのだった。
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