魔法少女に転生したら、強すぎた。

なつふゆ

転生

1話目 転生した

私は月乃 美麗(つきの みれい)。大学は諦めて、働いていくつもりのただの高校生である。退屈な授業を昼寝で終わらし、家に帰っている途中にあくびをしながら帰っていたときだった。


キキーーーーーッ


後ろからブレーキの音が聞こえてきた。振り返ると、すぐ目の前に車が見えた。

あぁ、私、この退屈な人生を終わらせられるんだ。思ったのはそんなことだけだった。

私は力を抜いて、車にぶつかるのを待った。


ドンッ


私の体は、空中に投げ出された。





チチチチチ……

小鳥のさえずりが耳に届く。

「………ん」

ふと目を開ける。

「……は?」

私は目を疑う。私の周りの景色は、森だった。太陽の光が葉に反射してキラキラと輝いている。きれいな緑がどこまでも続いている。夢に出てきそうな景色だ。

ゆっ夢か。それとも天国?私はとりあえず立った。

…あれ?見える景色が下の方しか見えない。驚いて体を見下ろす。

10歳くらいの身長だった。手も小さい。

「なんでこんなに成長戻った?」

声も可愛らしかった。これって…

「転生ってやつ?!」

最近、転生物語がまわりで流行っていた。私も転生したらいいなって思ってた。まさか現実になるなんて……

急な展開で固まっていると、

ポヨンッ

「わっ?!」

なにかが体当たりしてきた。見ると、青い半透明な生き物がいる。

「すすスライム?」

スライムだ。スライムがいるってことは、ここはゲームの世界だということだ。

えええ、私戦い方分かんない!!あわあわしていると、

コロンッ

何かが落ちた。杖だ。杖が落ちていた。急いで拾う。杖は、ゲーム初期に持つような木の棒みたいな杖だった。

杖ってことは、私は魔法使いってこと?そんなことを考えていたら、

ポヨンッ

「いたっ……」

スライムが待ちくたびれたのか、強めにぶつかってきた。少しよろける。

このままじゃやられっぱなしで死ぬ!

「ファ…ファイア?」

杖をスライムにかざして、恥ずかしそうに言った。すると、

ゴオオオオオッ

と、杖からすごい勢いで炎が流れ出した。

「わわわっ!」

あわてて杖から出る炎を手で止めた。手で止められるんだ…

スライムがいたところを見る。スライムは跡形もなく消えていた。

「私…勝った?」

安心感で力が抜けて、ぺたっと地面に座り込む。

魔法だ…本当に転生したんだ…嬉しさと興奮で体中が熱くなる。そんな時、

グウウウウ…

私のお腹の音が森中に響き渡った。その音を聞いて、私の最初の課題が頭に浮かんだ。

「食料ゲットしなきゃ…」

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