ラーメン屋さたけ
ツチメイロウ
第1話
ラーメンさたけの店長佐竹は、まさに昭和の頑固親父そのもので口調は江戸っ子みたいである。
自分に都合が悪い客が来るとキレ散らかして客を威嚇するのである。
今日も今日とてgoogle mapの評価を下げていく。
客が来た。
「へいらっしゃい、何にしやす?」
客は青年まさたけ。何やらスマホで店内を動画で撮っている。
どうやら今流行のYoutubeとかってやつなのかもしれん。
「え?あーちょっとまってね……うーんじゃあ味噌ラーメン一つ」
なんだこいつの態度は。
「おいおいお客さん、壁に書かれてるのが見えないのかい?ここは醤油ラーメン専門なんだよ。」
「…………」
「うちはね、ラーメンを出すからにはどんな客にも美味しいと思ってもらえるように醤油の味だけを極めているんだよ。味噌ラーメンが食べてえってんなら他をあたってくんな。」
「へぇ〜、こんな感じなのかぁ……。」
「ああ!?聞いてんのかこの野郎!!」
「まあまあまあまあ。落ち着いてくださいよ店長。僕は別に子供じゃないですし、ちゃんとした大人ですよ。味噌ラーメンがないというなら仕方ないです。醤油ラーメンで手を打ってあげましょう。」
佐竹はブチ切れた。「お前なめてんのか!出ていけ!」
まさたけは帰っていった。
翌日、佐竹の元に一本の電話が入った。
「昨日はすいませんでした。味噌ラーメンを食べさせてもらってもいいですか?」
まさたけだった。
「おうおういい度胸だ。お前いますぐ来い。二度と舐めた真似が出来ないようにしてやる。」
まさたけは急いで行った。
「よく来たな。俺が佐竹だ。早速だがうちの醤油ラーメンを食え。」
「はいいただきます。」
まさたけは一口すすり込んだ。
「うんめぇぇ!!これめちゃくちゃうまいっすね!!!もうまじで感動しました!」
「当たり前だ。俺はラーメン屋だからな。」
「僕、実は今日YouTubeの撮影に来てるんですよ。それで動画撮影をしてもいいですか?」
「ダメだ。帰れ。」
「そこをなんとかお願いしますよ。」
「じゃあお前ここで何か面白いことやってみろ。面白くなかったら即刻追い出すぞ。」
「わかりました。では僕のラーメンを食べさせてあげましょう。」
「よしきた見せてもらおう。」
まさたけは調理に取りかかった。
まずはニンニクの皮むきをする。そしてフライパンで炒めていく。
火加減は中火くらいである。
次に生姜の皮を剥いて包丁で切り込みを入れていく。
その後フライパンに入れて香り付けしていく。
最後にネギを切る。
それを鍋に入れていく。
スープを入れてひと煮立ちさせる。
完成である。
「できたぜ!味噌ラーメンだ!」
「ほう。なかなかうまそうだ。どれ。」
佐竹は麺を箸で持ち上げて口に運んだ。
ズルッズルルルルー
「こりゃうめえ!!!」
「やったぜ!!」
店長の佐竹は続けて食べた。
「うまい。これはうまいぞ。今までに食べたことのない味だ。」
「そりゃそうでしょうね。だって僕が作ったんですもん。」
「なんと!お前料理人か。」
「違いますよ。ただのYouTuberです。」
「YouTuberだと!?Youtuberがなぜこんなうまいものを…」
「たくさん食べてきましたからね。それに登録者も10万人いますし。」
「それはすごいな。それならば納得できる。」
「というわけで佐竹さん、チャンネルの登録をよろしくお願いいたします。」
「おう任せとけ。」
こうしてまさたけのYoutubeもバズったのであった。
おわり。
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