第 一 回 ④
草原乱れてジョルチ
族長
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さて、クル・ジョルチ部とはいかなるものかといえば、メンドゥ河の西北方、ドゥシット山の西麓を
なぜ今のようにふたつに分かれているかというと、話は七十年ほど前に
彼は敗残の兵を引き連れてメンドゥ河を越えて逃れ、そこを
またタムヤとは、メンドゥ河上流の東岸にある小さな
そして、ムウチが頼っていかんとするエジシとはいかなる人物であったか。
彼はそもそもクル・ジョルチ部ブリカガク氏の
幾人かの師に付いて学問を修めたのち、南方のイシ、カムタイといった
一般に草原の民は、商業や学問を生業とするものを軽蔑する傾向がある。自ら草原を捨てて
ここでひとつの疑問が湧くであろう。なぜそんな人物とフドウ氏の
大ズイエ河は、シェンガイ山嶺より流れ出てオロンテンゲル山の東に至ると、ズイエ河とカオロン河のふたつに分かれる。その二本の
エジシは三年前、
ところが運悪く、
エジシはまったく奇跡的にこの難を逃れた。しかし一身を護る刀剣はおろか、食糧もないまま草原を
と、前方に焚火をしている一団がある。藁にも
意気投合した二人は、
閑話休題。ハクヒら一行はその後、道中格別のこともなくタムヤに到着した。ムウチはもとより、ハクヒにとっても
行き交う人々はいずれも裾の長い
ただただ呆然としていると、
「おや、ハクヒ様じゃありませんか」
声をかけてくるものがあった。驚いて顧みれば、一人の壮士が拱手して立っている。ハクヒがこの男に出会ったことから、英雄は好運にも世に出る機会を失わず、窮余の民もあわや滅亡を
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