第3話 平原へ
誘われるように、
「おかしくないか?
多少の小競り合いが有ったにしても、ここまで順調に平原に来れるなんて…。」
「これが、私達の実力よ!」
ドヤ顔の
「…だと良いんですけど。」
と、心配顔の
実際のところ、小競り合いが続いていた峠を抜ける事は、かなり容易であった。
いくら本陣全体で突破したとは言え、敵の防壁が相当に脆かったのである。
この前までの緩慢な攻撃が鳴りを潜め、カウンターのような反撃が有って以降は、敵側も一目散に敗走する。
あまりにも手際が良すぎるのである。
しかも、退路の各所に仕掛けられていた罠も容易に解除できるものばかりで、こちらの行軍を鈍らせるものではなかった。
もっとも、敵の敗走する時間を稼ぐには十分なものばかりで、彼らは満足のいく戦果を享受できていなかったのだ。
平原に差し掛かる手前で野営を張り、十分な休息も取ることが出来た。
本来であれば、敵の勢力圏内にも関わらず、夜襲はおろか、威力偵察の類さえ無く、兵士たちは十分な休養を得たのである。
強いて言えば、宴が度を越えていたことが気になるところかもしれない。
◇ ◇ ◇
「よしっ!
僕を本陣に、王国軍の主な部隊はこのまま正面突撃を行う!」
ソロモンは全員を見渡して指示を続ける。
「ミームは、弓士、魔法混成部隊を指揮して、左翼に展開!
本陣に突っ込んでくるであろう敵本体を挟撃してくれ!」
「了解よ!」
ミームはお辞儀をすると、一隊を率いて行動を開始する。
「マキシとオリヴィアは、先陣部隊と補充兵員を従えて、右翼に展開!
本陣が進撃する前の露払いを頼む!」
「了解だ!」
マキシは敬礼し、オリヴィアも小首を縦に二度三度振る。
ソロモンの指示に従い、兵士たちは各々の部隊に展開していく。
「それでは、シャーロット様。
くれぐれも気をつけて…。」
「ありがとう。
貴女も、ご武運を、アリィ。」
「行きますよ、シャル!」
「ええ、ソープ!」
ソロモンが敵城に視線を向けると、敵も布陣を始めており、彼の思惑通りに戦場が形成されていく。
「よし、本陣を動かすぞ!」
ドラの音一番、ソロモン率いる王国軍は前進を始める。
それに呼応するように、右翼に展開していた部隊が、敵陣への突撃を開始した。
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