その後、ふたりは
草乃
その後、ふたりは
お題が唐突すぎて私が混乱しました。
――――――――――
何事もほどほどが、いいに決まっている。
それなのに、幼馴染は何故か筋トレにハマり、家に器具は増やせないと分かるなり学校のものを活用したりなんならジムにも通い始めてしまった。そうしてそっちの世界に行ってしまった。
そういうこともあって、生活の時間がズレて合わなくなった幼馴染は、昔なじみになった。
あちらが声をかけてきたら遊ぶ、家に突然来る、とあちらの行動に振り回されるそのくらいの関係だったし、こちとら筋トレになど興味はない。
程よい筋肉で程よく天寿を全うできればそれでいい。できれば肥満にならない程度で。
ウォーキングくらいなら付き合えた。
ちょっと早くなって、ランニングでも頑張ったかも。ハーフにせよフルにせよマラソンは無理だけど。
体育の授業くらいならなんとかなったかも。
一緒にいたら、楽しかったのかもな、なんて。
「え!? なに!? じゃあ、友情が筋肉にぶち壊されたってこと!?」
気付いたときには、頭は混乱していたし、なんなら生きるためには自分にも必要な筋肉を逆恨みする始末。お前さえいなければ?
けれども、筋肉に八つ当たりをしたところできっと結果は変わらなかっただろう。
何せ、受動的なこの身は自ら何某かの行動も起こさなかった。友情なんて名前もついてなかったかもしれないのだ。
幼馴染は、いなくなった。
隣に住む幼馴染の両親とは会う機会もあるが、挨拶がそこそこで幼馴染の話もそうそうしない。
少し寂しいなと思いながら、私は就職活に励み無事に社会にでることになった。
社会人になり、飲み会にも参加しなければならなくなった。ご飯は楽しく食べてなんぼだろおおお!
仕事の内容もデスクワークとあっては運動の機会がない。健診では運動不足の判をもらった。お腹周りのお肉が気になりだし、ジムに通うことにした。小耳に挟んだ、ネットで、動画を流していた筋トレフリークが自ら開いたというジムが、近所にできたらしい。
筋トレフリーク、という言葉に懐かしさを覚える。
ネットで、話題ということもあったがどうにか滑り込めた受付で思わぬ再開を果たすけれど、それはまた別の話。
その後、ふたりは 草乃 @aokusano
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