女神がくれたチートってのが【筋肉】なんだが
高久高久
どうやら筋肉ってチートらしいです
今回のあらすじ!
何の脈絡も無くトラックに激突された俺!
眼を覚ますと、知らない天井――ではなく真っ白な空間だった!
戸惑っている俺の前に現れたのはこれまた美しい女神様!
女神様曰く、
申し訳ないという気持ちから、女神様はなんと俺にチート能力をくれるとの事だ!で、その能力と言うのが――
「……あの、女神様。もう一度言ってくれませんか?」
「はい! 貴方に与えるチート能力はなんと! 万能能力【筋肉】です! もう貴方の人生勝ち確定ですね!」
「Oh……」
女神様、ちょっと何言ってるかわかんない。
そんな俺の
「えっと、つまりは俺は異世界で筋肉ムキムキ、マッチョマンの変態に転生する、と?」
「え? 違いますよ?」
「違うのかい」
某コマンドーになれるのかと思ったが違うのか。女神様は「ちょっと何言ってるかわかんない」って顔して首かしげてるし。ちょっとイラっとした。
「私、器具を使って作った様なガチムチってそこまで好きではないので」
「貴女の趣味聞いてるんじゃないんですけど」
「えっと……【筋肉】の説明、要ります?」
「むしろなんで要らないと思ったんだ?」
そう言うと女神さまは「しょうがないにゃあ」という顔で説明を始めた。
「えっとですね、貴方のステータスを開きますね?」
女神様が言った直後、俺の目の前にRPG等でお馴染みのステータスウィンドウが表示された。よくある
「女神様、項目にMPが2つあるんですけど」
「ああ、一つは所謂【
「紛らわしいんですが」
「では【筋力】の方に統合しましょう」
「そっちにしちゃうかー」
「【魔力】なんてただの飾りですよ?」
問答無用で『【MP】が【
「で、下の方に【筋肉】という項目があるのでこれを開けてみてください」
言われた通りに開いてみると、何やら色々な項目が広がった。
えっと、何々……? 胸鎖乳突筋、僧帽筋、広背筋、大胸筋、前鋸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋……あぁ、うん。これ全部筋肉の名前だ。色々な筋肉の名称の横に○○/○○みたいに数字が記載されている。
「筋肉の名前があるんですけど。それと横の数字は?」
「筋肉の名称はそのままの意味です。数字はこれこそが【筋肉】の恩恵とも言えるものです」
「と言いますと?」
「なんと! 鍛えた効果が数字となって見る事が出来るんです!」
「ちょっと何が凄いのかよくわからない」
「え? 分からないんですか? 鍛えた効果が数字となってわかりやすく表示されているんですよ? 無駄のない、効率的なトレーニングを行えるんですよ?」
「何を言っているかさっぱりわからない」
「それにですね、鍛える事で様々なスキルを得る事が出来るのも、このチート能力【筋肉】なんです」
「参考までに、一体どんなスキルが?」
「えっとですね……まずはどのような種族とも会話に困らない【肉体言語】や、どのような鍵も開けることができる【筋肉式解錠術】に、その筋肉で相手を魅了する【
「さっぱりわかんない。というか結局MPって何の為にあるの?」
「上がれば上がるほど強くなります」
「消費するものじゃないのかー」
「テンションみたいなものですね。ほら、少し動いて
「ああ、そう」
もう深く考えない方が良いだろう。
「で、この数字の方が斜線で別れているのは?」
「上の数字は実際の筋肉の数値ですね。下の方の数字に近づける事で、私好みの肉体になる事が出来ます」
「女神様好み」
「はい! 私好みの肉体を作れば、私直々の寵愛を受ける事ができます!」
「うん、チェンジで」
「そうでしょうそうでしょう……って、チェンジ!?」
心底驚いた顔をしている女神。むしろなんでチェンジされないと思った。
「なんでですか!? こんな便利な能力なのに!?」
「いや、いらんて。チートでもなんでもないでしょう」
「チートですよ! トレーニング効果が数値化されるなんてモチベーションの維持にもつながりますし! 何て言ったって効率的です! これ以上ない
「いらんて」
「ダメですー! ノーチェンジ! チェンジは受け付けません! これ以上ガタガタ言う前に、さっさと転生させちゃうんだから!」
そう言うと、何やら俺の周囲に光が集まり、あっという間に包まれた状態となる。
「――最後に、貴方にアドバイスを授けます」
「アドバイスはいらないんで別のチートを」
「良い筋肉に必要なのは『栄養』『休息』『刺激』です。栄養はタンパク質は当然ですが、それだけ偏ってもいけません。バランス良く採る様に」
「ダメだコイツ聞いてねぇ」
「筋肉は回復する事で強化されます。休息は必要不可欠です。そして刺激――戦闘面で必要な筋肉は筋トレだけではなく、実用的な動きや時に負傷することで鍛えられる面もあります。また漫然と鍛えてはいけません。必要な刺激を与えるのです」
「いやだから別のチート寄越してくださいって」
「最後に。転生先で、どうか、私好みの
「お前ただのフェチだろ!? そこは幸を祈れやぁぁぁぁぁぁ!」
――そんな感じで、俺は異世界へと転生させられた。
最初は本当に頭を抱えたのだが、もうやれることは無いのでとりあえず鍛えた。
確かに、数値として見る事が出来るのでモチベーションの維持にはなったと思う。
そんな感じで鍛えて、見事魔物を素手で倒せる猛者に成長する事が出来た。
武器? 防具? いらんいらん。全部筋肉で解決できた。お陰で周囲からは
ああ、後女神の寵愛とやらも受けている。女神好みの数値に近づけたら嬉々として俺の目の前に現れやがった。
「うぇへへへ……いい身体になっちゃって……なんですかこの
時折こんな感じで降りて来ては、俺の身体を
「俺はもっとこう、冒険とか恋愛とかしたかったんだけどなぁ……」
「恋愛なら私がしてあげますよ?」
「あ、変態はノーサンキューで」
「拒否は受けませーん。はぁはぁ……なにこの
「尻撫で繰り回して何言ってるんだこの女神」
――その後、この世界の筋肉フェチの女に追い掛け回されたり、魔王とか相手に素手で挑んで何とかなったり、その後マジでこの女神と結ばれたりとかするのだが、それはまた、別の話。
女神がくれたチートってのが【筋肉】なんだが 高久高久 @takaku13
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