走るひとびと。
亜璃逢
走るひとびと。
なぜ私の周りの人間は、それなりにいい年になってからフルマラソンに出始めるのだろう。
一番身近な例はうちの父だ。急にラグビーを始めたかと思いきや、いつの間にかそれはマラソンにかわっていた。
フルマラソンにチャレンジするだけではなく、100Km走り続けるウルトラマラソン。なんと、トライアスロン大会にまでエントリーするとは・・・。
そのトライアスロン、出場した大会の最高齢チャレンジャーだったようで、地元のTV局3社が密着取材。放送後、録画してあった番組をDVDに焼いて送ってきていた。
友人たちも然り。男子も女子も、30後半くらいからフルマラソンに参加する人が増え、応援サイドもいつのまにか3kmや5kmのミニマラソンに出場するようになってきた。
かくいう私も、関西に居る同郷の友人にうまく誘われて(笑)、普段運動しないくせに、3kmくらいならいいかな~などと思い始め、ミニマラソン大会にエントリーするようになった。
もちろん、いきなり走るなんて暴挙はせず、2km歩いて市内大きな公園に行き、 設けられているジョギング周回コースを2周。帰りは公園近くのドーナツチェーンで糖分を補給してから、また2km歩いて帰るということを、2日に1回くらいのペースでやってみた。
「ランニングタイツがセールで安かったから買ったよ」と父にLIMEしたら「ランニングタイツはいたからって速くはならんがモチベーションはあがる!」と返信が来た。厳格な父からのそのレスに、思わず目が点になったのは内緒だ。こんなキャラだったのか、父よ。娘はそれを幼いころに知りたかったよ。
コロナ禍前まで、数年間、秋には友人たちと連れ立って、御嶽山6合目にある高地トレーニングセンターに滞在して走ったり、寝たり、バドミントンしたり、寝たり、天然温泉につかったり、寝たり。
栄養のことをきっちり考えられた食事が3食ついて1泊8000円くらいだったかな。
空気が薄いところにいるわけなので、コロナ禍前から、パルスオキシメーターのお世話になっていた。
結構順応性があるらしく、初日すぐから98%くらいに落ち着くので楽なんだけれど、ある朝、絶景を見ながら走れるトラックをいいペースで走っていたら、脳貧血っぽくなってちょっと焦った。
トレセンからの帰り道。友人の車のリアシートで窓の外をぼーっと眺めていたら、どんどん空が遠くなってきて、家に帰る頃には空気の重さに辟易する。
ハ〇ジが山から降りて心の病になったのも、ク〇ラが山で元気になったのも、こういうことなんだなって実感する。
先日久々にフルマラソンを走る友人を応援しに何人かで補給部隊を組んで、あっちだこっちだと電車移動も含め駆けまわったら、また、走りたくなってきた。
走りたくなってきたのはいいが、翌朝筋肉痛で生まれたての小鹿状態になってしまったのは3年もさぼっていたからだな。反省。
で、いつから走ろうか。
しっかり、冒頭に書いた面子の仲間入りしてることに苦笑する年度末。
走るひとびと。 亜璃逢 @erise
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます