地元で愛される店に共通するもの

すでおに

地元で愛される店に共通するもの

 ブームが廃れるのは世の常とはいえ年々そのサイクルが短くなっているように感じます。直近の廃れたブームの代表格はマリトッツォですが、一度は人気を博したのはそれだけの魅力があったからで、たしかにマリトッツォは美味しかった。セブンイレブンのものがお気に入りでした。私だけの感想ではないはずです。


 なのになぜあれほど早くブームが去ったのか。コンビニ各社も商品開発に金も時間も割いたはずなのに、あっさり、あまりにもあっさりブームが去りました。

 株やら仮想通貨やらの影響で、高値が付けば売りに走る投資家根性が日本に根付いたのでしょうか。あながち無関係とは思えません。結ばれた途端に破局を見据えるのは悲しすぎます。少子化に拍車をかけそうです。


 マリトッツォの先代に当たるのがタピオカで、ピーク時には私の地元の、何の変哲もない駅前商店街にタピオカ屋が5軒もありました。新規オープンの割引セールには100人を超える行列ができ、客同士のトラブルで警察が出動する事態にまで発展していました。タピオカは利益率が良いらしく、雨後の筍のごとく全国的にタピオカ屋の出店ラッシュが起きました。


 が、やはりあっという間にブームが去りました。待っていたのは閉店ドミノ、我が地元にあった5軒のタピオカ屋も現存するのは一軒のみで、あれほどの愛が嘘のように冷めて冷たくなくなりました。


 残った一軒は大繁盛とまではいかずとも、店内飲食、テイクアウト、いずれも一定の顧客をつかんでいるようです。



 同じ商店街に1000円カットのお店があります(現在は1000円以上します)。チェーン店ではないものの、多くの人に愛され、客が途切れることはなく、私もそこで切っています。


 この二つの店に共通点があるんです。店内に同じものが貼ってある。


 ずばり、チラシです。地域のチラシ。少年野球やサッカーの部員募集だったり、地元で開かれるイベントの案内だったり、地域のお知らせや宣伝のチラシがどちらの店にも壁に貼ってあります。いうまでもなく、チラシは貼れば客が来る招き猫ではありません。


 長く店を続けるには、地元に愛され、地元に溶け込み、地元の一員になる。商店街ではビジネスライクは通用しないようです。

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