みどりセクレタリー!~大学で先生のICTをお手伝い~
なみかわ
出会いの8月
出会いの8月(1)
わたしは
7月30日。夏休みが始まって一週間、3年の時と同じように、『夏休みの友』は最後のページまで、やりきった。
真っ黒になった手を洗って。
がりがりと、えんぴつけずりを回して。--これはお父さんも使ってたやつ。
明日からは、好きな本がたくさん読める。
クイズポッケのYouTubeも、いっぱい観れる。
自由工作と、自由研究はあとまわし、あとまわし。……うん? まだ20日くらいあるからね!
「姉ちゃんー」
2階の部屋に行ってみると、旭姉はだらだらゴロゴロしている。わたしのお姉ちゃん、
「姉ちゃんクイズポッケ観ていい?」
「今日の分宿題終わったん、早い」
「今日だけやなくて全部やった」
「……な?!」
旭姉は去年もこんなかんじで、びっくりしていたと思う。
「あんたはほんまに賢いなぁ。わたしにも分けてほしいわ」
そして、わたしのショートカットの頭をわしわしとなでてくれる。旭姉は長くてちょっと茶色に染めてる髪を指でくるくると巻きながら、
「ちゃんとできてるかは、またお父さん帰ってきたら見てもらおか」
とふたりでまた1階におりた。
「みどり、カフェオレ作ってーや」
「はーい」
ようこそカフェみどりへ。
「旭さん、氷は入れますか?」
ジョウレン客の旭さんは底の方だけお湯で溶かしたコーヒーに、たっぷり牛乳を足したカフェオレがお好みです。
「今日は2つでお願いします、マスターみどり」
「はーい、伝票はいりまーす」
ポットのボタンを押して、縦長のグラスをふたつ。スプーン2杯弱--2杯目がちょっと少な目--のコーヒーの粉を入れる。
旭姉--おっとお客様の旭さんは、テレビのリモコンを押して、YouTubeをだしてくれる。ずっと見てしまうから、YouTubeは、宿題のあとで、見たいものを家族の誰かに言ってから、になっている。
パチンとポットのボタンが戻った。
コーヒーを溶かして、アイスボックスから氷をふたつ、がらがらとかき回す。
牛乳を足して完成!
「お待たせいたしました」
お母さんに作ってもらったカフェみどりのコースターにのせて、特製カフェオレのできあがりです。
わたしもカフェオレのグラスを置いて、クイズポッケの動画を再生してもらう。
クイズポッケとは、”
『早押しクイズコーナー!』
「姉ちゃん、駅でクイズポッケの人とすれ違ったりせえへんかったん?」
旭姉は京都都大学の近くにある”新町今出川女子大学”に通っている。
「そんなことあったら真っ先にあんたに言うてるわ」
たしかに。それと、もともと旭姉は、運動部の選手とかが好きらしくって、京都都大学のアメリカンフットボール部のレギュラーメンバーなら50人くらい? すぐにわかるけど、クイズポッケの人は、玉置さんと、サブリーダーの
『第3問!』
ききのがしすぎたら、巻き戻そうかな、と思ったとき、旭姉が変なことを言った。
「あっそうや、こんどのバイト、”京都都大学”やねん」
「……え?」
大学のバイトって何だろう。それに、京都都大学でって、どういうことだろう?
『ピンポーン! 正解!』
第3問の答えは、過ぎてしまっていた。
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