有隣堂SF

@jalopy

第2話  配信開始から10年後のある日の一コマ

有隣堂本社・会議フロアの廊下にて


「渡邉次長、今日の打合せはPと2代目ブッコローさんが来られるそうですね。」

「間仁田部長も今日の打合せに参加されますか?」

「イャぁ、このあとメーカーさんとの打合せがあるんで、そっちが終わって間に合えば参加するつもりだけど。」

「岡崎さんが退社されてからもう3年ですが、まだ後任の・・さんには任せられない?」

「彼女も頑張っているけど、メーカーさんとの交渉にはまだ少し不安がね、、」


「そういえば、この間岡崎さんから連絡があったと伺いましたが、、」

「今、彼女は都内のインク工房で頑張っているみたいですよ。先日も新作が出来たから、ゆうせかに出してもらえないか?っと言ってきたんだけどね。」

「今のゆうせかは世界配信一億人のチャンネルだから、昔みたいな小ネタはチョット、、」

「僕もそう言ったんだけど、彼女はまだ昔の小ネタ満載の頃が忘れられないけど、今やゆうせかは日本でも3本の指に入る知名度の高い通販チャンネルに成長したからね。」


「初代ブッコローさんも今の状況には付いていけないって、引退しちゃったんですよね。」

「彼には色んな企画にチャレンジしてもらって、色々助けられたね。」

「ブッコローさんの引き出しの多さはすごかったですよね。」

「Pもあれだけの人材をよく見つけてきたね。」

「なんでも、昔一緒に働いていたときから、彼の才能に目をつけていたらしいですよ。あと、彼の弱みを握っていてPの頼みは断れないとか。」

「ははは、彼ららしいね。」

「ブッコローさんは今でもファイナンシャルプランナーの仕事を続けているのかしら?」

「松信会長に頼み込んで、一角4号店の副店長(仮)を仰せつかってたよ。」

「まさか、ブッコローさんが皿洗いをやるんですか?」

「4号店は食洗機が入るから、皿洗いはないんじゃないかな?」(笑)


「あの頃の配信が懐かしいね。僕も皿洗いの傍ら参加していたけど、途中からアップアップだったよ。」

「でも、間仁田部長は絵を書いたり、各メーカーさんとの対談をやったりで大活躍だったじゃないですか?今の有隣堂があるのも間仁田部長があってじゃないかって、広報の皆で噂してますよ。」


「イャぁ、それは渡邉次長がバラバラになりそうなメンバーの手綱を旨く握ったからですよ。あっ、打合せが始まるからソロソロ、、」

「呼び止めてスイマセンでした。今日の打合せはどちらのメーカーさんですか?」

「今日は○ハさんだったかな?」

「えっ、あの水産大手の○ハさん?」

「なんでも、完全養殖のうなぎをウチのチャンネルで取り上げて欲しいらしくて、まずは話を聞くところからかな。」

「十年前じゃ考えられないですよね。」

「そうだね。来週、Pと初代ブッコロー君の店に飲みに行くけど、その時に声をかけようか?」

「その時はよろしくおねがいします。」

「じゃあ、あとで、」「また」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る