第15話 境界線と仮想世界B
僕は僕の中の僕にしたがった。人間界で、ぎこちなかった僕。ここは居心地が良い。昔話にあるウラシマのように人間界に帰還したら時が変わっているのだろうか。しかし、人間界に戻ることは、ないだろう。元々僕は人間ではないからな。僕は”京“の次期国王らしい。今、目の前の境界線を楽しもうと決めた。”僕の道は僕が決める。“「なずな。」僕は、なずなを呼んだ。「それで、なずな境界線は何と戦っているんだ。」「仮想世界B」「仮想世界B?」嘘だろう。僕もオンラインでやったことのあるゲームだ。「なずな、そのBだが、どんな攻撃で境界線に攻撃してくるんだ。」「それがとても不思議なの。集団での攻撃は全くないの。個人攻撃と言うか、攻撃の方法も同じじゃないのよね。似た攻撃もあるけど、全く同じは、”ない“のよね。」なずなは対策に苦慮していた。確か仮想世界Bはゲームチーム戦はない。オンラインゲームしては珍しい。しかしアイテムは多種多様にある。高音速のロケット弾から小型拳銃、コスプレ、戦隊もの、あと自身が魔法使いになれたり、ゴースト、宇宙人に変身もできる。かなり自由度が高い。僕も一時期、ハマったが。「なずな、実際被害はどうゆうものだ。」「そうね、たとえば、銀色の物体が上空を飛行し、光線が発射されて、物体内にに境界線人が吸収され、戻ってきたら記憶を無くしているとか。いきなり景色が変わり戦闘部隊の兵士として戦闘したり。羽根が生えてユニコーンになったり、本当意味不明。」やはり僕の知っている“仮想世界B”だ。「なずな、仮想世界Bのゲームは、プレーヤーのやりたい放題のゲームだった。現実世界に縛られた人間にとっては“秩序のない気ままな”ゲーム内の世界は楽しい。かなりの人がハマった。しかし、ある時からゲーム自体が突然消えた。噂では、ゲーム中、プレーヤー自身の脳内を直接コントロールされ電磁波が流れる。プレーヤーが消えてゆく。行方不明については偶然かもしれないがニュースにもなった。真相は不明だが、こわくなり自然とみんなやらなくなった。僕は、こわいというより、アイテム選択の際、選択したものと違うものが選択され、“クソゲー”だとすぐにやめた。」「なずな、なずなは攻撃を受けていないのか。」「そうね。ラッキーなことに受けていない。」「なずな、“菜”はどうだ。攻撃を受けた気配はあったか。」「たぶん、なかったんじゃないかな。菜は、何も言わなかったし、特に変わったところなかったけど。でも結局、菜は、仮想世界Bの攻撃じゃなく、私の嫉妬で人間界に転生させられてしまったけど。ワタル、ごめなさい。」「おい、なずな、その言葉は僕じゃなく、おまえの妹“菜”に言うんだな。」なずなは、子供のように素直に「はい。」と答え「ワタル、君は本当に優しいね。」僕には届かない声でなずなが、つぶやいた。僕は脳内で考えた。“仮想世界B”か。「なずな、なんで僕の故郷、京の力が必要だったのか、教えてくれ。」「Bに攻撃されて、記憶を失った境界線人が、『Bは京には勝てない。』と何度もつぶやいていたの。「どうして?と聞いても『Bは京に勝てない』としか答えるだけで。それで最初は京の出身の”菜”に京に赴て交渉させようと思っていたけど、ちょうどその時、京の国王、あなたのお父様が病に伏せっていて目通りが叶わなかったの。それと並行して仮想世界Bからの攻撃は続き、だんだん境界線の中もおかしくなり始めて、”菜”がワタルと会ったのは多分その時だと思う。時空空間を移動中に何かの拍子か、誰かに引き寄せられたのか、それとも”菜”自身で人間界に寄り道したのかはわからないけど。」僕はなんとなく時系列が見えてきた。”Bは京に勝てない。”B”とは何者か?人間界でもゲームという影響力で支配を試み、境界線をも支配しようとしている。”菜”は人間界に転生する前にそのBの正体に気づいたのかもしれない。それで僕に、長崎に”便り”をよこしたのかもしれない。“Bは誰だ。”Bの正体を”菜”は知っているのか。”菜”君は僕と入れ違いで今、人間界にいる。記憶のない女子高生の君。”菜”。会いたい。なずなが僕を呼ぶ。
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