第14話 なずなと境界線と僕

僕は結界から解き放たれた。なずなが「やっぱり無理。」会った時からずっと上から目線のなずなが、僕と同じ目線になっている。僕も目線を合わせて、しかもさっきまで捕まって命まで奪われそうになった相手に僕は「なずな大丈夫か。」僕は、なずなの肩に手を乗せた。なずなが「悔しいけど・・・」そう言って僕の手を握る。「ワタル、鈴。持ってるんでしょう。」「あー、これ。持ってるさ。なずなが、くれたんだろう。」僕はポケットからカギにつけていた鈴を見せた。「カギよく落としてさ、音があると探しやすいんだよな。」「そう。」僕は鈴を鳴らしながら「でもちょっと女子っぽくて」なずなの口元が少し笑った。「そうね。でも威力はあるわよ。」「そのようだ。」なずなが「ワタルは菜を探しているんでしょう。たった一度、それも短い時間しか会ったことないのに。なぜ、菜にこだわるの。」「なんでって?どうだろうな。短い時間だったから余計、会いたいと思うんだろうな。ただ会って話がしたい。それだけさ。人間界でも境界線でもそのあたりは同じじゃないかな。気になる。それだけさ。」なずなが真面目な顔で「それって“好き”ってこと?」「わからない。僕は誰かを好きになったことはない。人間はややこし。面倒だ。その点、境界線の君達はドライで感情的には僕は、なずなに近いと思うが。」なずなは「へー私と近い感情ね。ワタル、やっぱり鈴は君にあげて良かったかも。」なずなは、私にもチャンスがあるかもと素直に喜んだ。「よっし。」「なずな。何か言ったか?」慌てて「いいえ、何も。」僕はなずなとの距離が近づいた気がした。それに今この境界線は、なずなが長だ。なずなは1人で何かを抱えている。人間でも境界線人でもない僕。京の次期国王は僕だ。ただなずなは、京を支配しよと、いやちがう。何かと戦うために京の力を手に入れたいようだ。誰かと繋がりを持つのは嫌だ。でも今自分でもおかしいくらい、この境界線の世界に興味を持ってしまった。僕は“菜”君を探しているはずなのに心がざわついている。目の前になずながいる。「ワタル、どうしたの?心配しなくても元の人間界に送ってあげるよ。」「いや、なずな、僕はしばらくこっちの世界、境界線にいることにする。」なずなは、時空空間のドアを見上げて。「そう。」あっさり、承諾した。

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