筋肉鉄道6x6(sixpad)
ひとえあきら
第1話 筋トレのバラード
♪きっと何時かは君も出逢うさ、割れた
ナレ:高木均(台詞の背景に巻紙を想像して下さい)
『この時代、全宇宙の
『それぞれの夢を抱いて人は
『肉郎の長い筋トレの旅も、今始まろうとしていた――』
西暦2666年の地球、スポーツ科学が進んだこの時代、上級国民は頑健なる身体を誇り競い合い、体力も無い貧相な下層国民はそんな
「こ、これで
「正確には"鋼鉄の筋肉"よ、肉郎」
「何が違うって言うのさ?」
「それは行ってみれば解ることよ」
『こうして肉郎は旅の人となった』
『彼の行く手に何が待ち受けるのか、それは作者にも解らない』(おぃ
「――それにしても私の名前だと銀河鉄道というより機動戦士が出てきそうなのだけれど」
「そんなの古参アニヲタにしか解らないよ、メーテレ」
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『火星――かつて人類初のフロンティアだった惑星も今は見る影も無く、無法者が跋扈する荒くれ者の星となっていた』
「――へっ、肝心な所で脚が攣るとは、この大盗賊シュガーレス様もヤキが回ったもんだ」
「シュガーレス、貴方は肝心なことが解っていない」
「何だと?」
「筋肉はただ付ければ良いというものでは無いわ。適切な部位に適切な量、何事も過ぎたるは及ばざるが如しなのよ」
「……へっ、そ、そうか、俺はただ、筋肉量だけを求めていたが、それが間違い……だった……のか」(ガクッ)
「シュガーレスーっ!!」
「肉郎、泣くのはお止しなさい。彼もまた、理想の筋肉を求めて生きた男。悔いは無い筈よ」
「理想の、筋肉……」
『理想の筋肉――それは如何なる物か、肉郎には解らない』
『その遙か遠い高みを目指し、今日もバーベルを上げる肉郎だった』
「そういやこの列車って筋トレ車もあったんだね」
「それだけではないわ。食堂車も銀河RI●AP監修の高蛋白・低カロリーの完全バランス食で筋肉増強に配慮されているのよ」
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『惑星"大六畳一間"――それは、かつての古き良き地球にも似た若い星』
『あの頃は何も怖く無かった――不思議と心安らげる星だ、と肉郎は思った』
「うーんやっぱり筋トレ後のラーメンライスは沁みるねー、わいどん君!!」
「じゃっどなぁ。オイももっともっと鍛えて、いつかはビフテキを腹一杯――!!」
「それにしてもトレーニング機器もないのに大した筋肉だよねぇ、細マッチョっていうの?」
「こいで、も
「何て言うか、無駄な筋肉が無い感じだよね……」
『後ろ髪を引かれつつ惑星"大六畳一間"を離れた肉郎であった』
『だがこの時、自身の理想とする筋肉のヒントを得た気がしたのであった』
「『ロ●キーⅣ』を見るのよ、肉郎」
「ストーリーは当時見てもちょっとアレだったけど、サントラは名曲揃いだよね、メーテレ」
「そうね(……えらく詳しいわね、肉郎)……」
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『ここ惑星大トレーナー分岐点は銀河最大の鍛錬拠点』
『夢を追い希望に胸弾ませる者、夢破れ絶望に沈む者――人生の光と影の分岐点でもあるのだ』
理想の筋肉を追い求め、あと一歩でそれを為さんとしていた男は、今正に死の淵にあった。
「……誠に無念なれど、俺の
「――そんな、イソローさん……」
「そこで肉郎、お前を男と見込んで頼みがある。この俺の頭にあるトレーニングメニューを、この全自動パワーラックに全てインプットして欲しい」
「でも、そんなことしたら、イソローさんは……」
「このパワーラックさえ完成できれば、俺に悔いは無い。なーに、俺達の
「イソローさぁん……」(´;ω;`)ブワッ
「あと、済まんが俺の相棒――トリプトさんと、この
主との別れが近いことを察してか、イソローの傍らの巨大な鳥――トリプトさんが涙目でクェェェェェ……と啼く。
やがて、スイッチが押されるとイソローの記憶が全て全自動パワーラックへとコピーされ、全てが終わった後には満足そうな死に顔の
「僕には解らなくなっちゃったよ、メーテレ。人は筋肉で幸せになれるのか……」
「それは、この旅が終わる頃に解ると思うわ、肉郎」
『理想に生き理想に殉じた偉大なる
『筋肉は正義なのか、メーテレの目的は何なのか――肉郎にはまた、疑問が増えたのだった』
♪メーテレ、また1g、
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