33.厄災




ヴィクトリアは礼をしながら思った。




この人たちを見るとどっかの証拠も調べず私を処刑した人を思い出すわ。


ホント、あの頃の私は偉かったわ。


それに比べてルーカス様は凄いわ。


気遣いも完璧、顔も満点。


仕草も洗礼されているし仕事もできる。


しかも声まで美声だわ。


100点満点ね。


いや150点くらい言っているかも?


でもこのくらいで現実逃避は終わりにしましょう。


この人たちは多分正妃とその子供ね。


皇妃教育で他国の情報も大事だと耳にタコができるほど東の国の情報は聞いたわ。


東の国―いや、黄蘭陋陸シャルダ・クルルで一番高貴とされる色が赤だわ。


この親子は衣装が赤だから正妃とその息子、第二王子に違いないわ。


私もこう言う上が愚かな国の結末は未来を生きたから知っているけど上が腐ってれば下も腐るのよ。


まあ黄蘭陋陸シャルダ・クルルは大国だから潰れないけどこれが小国だったら即敗戦ね。


臣下たちの苦労が図れるわ。


よく臣下が居るものね。


私だったらこんな傲慢に仕えるなら家でするけど?




ヴィクトリアが言うと正妃と第二王子は怒りでプルプルと震え出した。




「下民如きが私に命令すると?覚えておきなさい。この事は陛下に伝えるわ、覚悟しなさい。行くわよ。」




正妃は踵を返し第二王子の背中を押して戻って行った。


ヴィクトリアは安堵のため息を吐いた。




「はぁぁ」




「ディアレイド、ナイス。厄災を追い出したね。」




ルーカスが扉を直しながらヴィクトリアに言った。




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