第20話 猫とのOHANASI

 ポキリ、うわああぁぁおぅ!?


俺の角が折れる音、と同時に筋肉ダルマの拳から煙が出ていた為、そういう事だろう……


折角進化して角を手に入れたのに何速攻で折ってくれてんだお前!




「あの牢屋から脱獄されてはもう捕えておく手段は無い、ならば遣るまでだ!」


「次は頭を狙うぞ!」 




そう言って右手を振り上げながら突撃してくる、初回では油断したがな、させるか!


そして俺と小鳥の周りに球状の結界を張る。




「なんだコレは!? こいつらの周りに見えない壁が!」




ふん、俺の結界を舐めるんじゃないわ! 


はっはっは!




 いや、それにしても筋肉ダルマと老人を説得しない事にはどうにも……




「なあ、なんで俺たちを捕まえるんだ?」




結界文字で筋肉と老人にそう伝える、すると筋肉が多少落ち着き、老人が言う、




「ほう、こちらの者は喋れるのか」


「なるほど、なら小鳥の方は喋れるのか?」




俺は首を振る、いやそれよりも質問に答えてほしいんだか……




「先程の質問に対してだが、それはお前達が奴ら天狐族の仲間である事と、


お前達が俺達の所有するダンジョンに侵入したからだ」




なるほど、つまり天狐族の対立種族であると…… 


そしてダンジョンに不法侵入したからだと……




「ダンジョンの事は済まなかった、そのことは知らなかったんだ!」


「いや、その鳥は前もいて、注意したんだが… まあすぐ逃げられたがな…」




小鳥、お前……




「というか、どうして天狐族と対立してんだ?」


「ああ、それは昔からでな、千年も昔、天狐族と我ら地描族は協力関係であった」


「だが、千年前何故か不仲になってな、手記に書いてあるのだが、肝心の部分は破られているのだ」




なるほど、でも訳も分かってないのになんで不仲になるんだ?


昔不仲になっても現在なら関係ないだろ?


その事を筋肉と老人に伝える、だが二人は




「たしかにそうだが……」


『恐らく神が先入観を植え付けているのだと思われます』




なるほど……


でもなんでだ?


そんなことする理由ないだろ?




『いえ、過去に神の敵であり、更にその中でも一強だった地描族と天狐族のコンビ、


それを崩したかったのでしょう、そう考えれば利点はあります』




なるほどね……


解除する方法は無いのか?




『呪いなどの類では無いのでどうにも……』




ダメか……


なんとか出来ないか?




『それなら、彼らを合わせるのが手っ取り早いでしょうが……』




よし採用、早速実行に移す。




「なあ、天狐族と戦いの場ではない所で合ってみないか?」


「は? ど、どういうことだ?」


「あってみればお互い良い奴だってわかると思うんだよ、多分」


「それに、お互いがお互いを嫌っている理由も神が介入してるみたいだしな」




「神が介入!? それは本当か!?」




本当なんだよなサポさん?




『ええ、99.9%の確率です』


「神…また何かするつもりか?」




神は自分の印象操作はしてないのか?


不思議だ…




「トカゲ殿、いいだろう、その提案に乗ってみようと思う、


だがもし何かあれば、その瞬間トカゲ殿の首を切る」




恐ろしいなこいつ…


そうして、俺はレデモとスピレに会いに行くことを許可された。


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